今週は、天皇賞(秋)やマイルCSを見据える上で重要な一戦、第75回毎日王冠(GII、芝1800m)が東京競馬場で行われる。古馬勢では昨年の当レース覇者エルトンバローズをはじめ、鳴尾記念など重賞2勝のヨーホーレイク、前走で函館記念を制したホウ…
今週は、天皇賞(秋)やマイルCSを見据える上で重要な一戦、第75回毎日王冠(GII、芝1800m)が東京競馬場で行われる。
古馬勢では昨年の当レース覇者エルトンバローズをはじめ、鳴尾記念など重賞2勝のヨーホーレイク、前走で函館記念を制したホウオウビスケッツ、新潟大賞典など重賞2勝のヤマニンサルバムがスタンバイ。これにスプリングS覇者のシックスペンス、プリンシパルSを制したダノンエアズロックといった3歳勢も相まみえ、ハイレベルな戦いが予想される。
そんな中、重賞2勝の実力馬ローシャムパークが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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■高速馬場への対応力に疑問符が付く
昨年は函館記念、オールカマーと重賞連勝を果たし、次のターゲットはGI奪取のローシャムパーク。暮れの香港Cは8着に敗れたが、今季初戦の大阪杯はクビ差の2着と、GIタイトルを掴みかけた。宝塚記念5着を経て秋初戦。この後に控えるビッグレースへ向けて、GIIなら負けられない戦いとなる。
例年、東京の開幕週で争われる毎日王冠は速い時計の決着になりやすい。2022年は、サリオスが1分44秒1のレコードタイムで勝利。18、19、21年も1分44秒台で決着しており、高速馬場へ対応できるスピード力、上がり33秒台の決め手がある馬、そして近年はマイルGIを勝っている馬が勝利する傾向にあり、一線級のマイラーであることが当レースで上位入線できるポイントだ。
本馬は2000~2200m中心のローテーション。一度もマイル戦の経験はなく、スピード力を求められる馬場への対応に、やや疑問符が付く。東京芝1800mで2戦2勝と相性はいいが、函館や中山で好パフォーマンスを見せているように小回りコースがベストな舞台。上がり33秒台も一度しか経験がなく、決め手を要する展開になると厳しい戦いとなるのではないか。
また、ローシャムパークと同じ、父ハービンジャー×母父キングカメハメハの代表馬はブラストワンピースとなるが、同馬も19年有馬記念など、中山や札幌を得意にしていたタイプ。産駒は高速馬場の切れ味勝負より、上がりのかかる競馬を得意としており、血統面からも東京の高速馬場で勝負というタイプではない。
データ的に、前走GI組は過去10年で【5.6.4.31】ともっとも好相性だが、勝ち馬5頭はいずれも前走GIで3着以内だった馬。前走GIで4着以下の馬は【0.2.2.26】で、勝ち馬を輩出しておらず、加えて、宝塚記念組も【0.1.1.6】と分は悪く、宝塚記念5着だったローシャムパークにとって歓迎できる材料ではない。
過去10年の連対馬20頭のうち、18頭が重賞ウイナーで、そのうち13頭は芝1800mの重賞勝ち馬。残る5頭中4頭はマイル戦のGIウイナーで、1600~1800mでハイレベルな戦いをしていなければ毎日王冠では好勝負できない。2000~2200mが好条件のローシャムパークにとって、今回はかなり分が悪い舞台。人気ほどの信頼感はないと考え、今回は思い切って「消し」でいってみたい。
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◆著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか 20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。