■渡邊雄太(メンフィス・グリズリーズ→千葉ジェッツ)  日本人史上2人目の選手として昨シーズンまで6年間、NBAでプレーをして…

■渡邊雄太(メンフィス・グリズリーズ→千葉ジェッツ)


 日本人史上2人目の選手として昨シーズンまで6年間、NBAでプレーをしてきた男が、Bリーグの千葉ジェッツ入りを決断した。同リーグ史上最大の選手加入といってもさしつかえはあるまい。パリオリンピックは、事前にひどい肉離れを負いながらも全試合に先発出場し、攻守で核となる活躍をし、またリーダーシップでチームの精神的支柱となった。

 NBAでは主に3Pシュートとディフェンスと役割が明確化されていたが、千葉Jではボールハンドラーやドライブインを担う場面も増えそうだ。またそれにより、昨シーズン同軍が課題としたハーフコートのオフェンス時におけるボールの停滞を解消するとともに、味方にズレを作ることを可能とする。

■吉井裕鷹(アルバルク東京→三遠ネオフェニックス)


 無骨を極めた男が、年代別の代表に選ばれていたとは言え、ほぼ無名の存在からアルバルク東京での雌伏のときと日本代表活動を経て、実力と知名度を一気に高めた。パリオリンピックではディフェンスでフィジカルにプレーできる点を評価されて3試合中2試合で先発出場し、平均出場時間はチーム3位の30.6分を獲得。ドイツ戦ではフランツ・バグナー(オーランド・マジック)とマッチアップする場面もあった。

 三遠ネオフェニックスへの移籍について大野篤史ヘッドコーチは4年ごしの希望が実ったと、吉井への期待の大きさを示している。A東京ではチーム事情でPFとしてプレーすることの多かった吉井。三遠では3ポイントシュートやドライブインからのレイアップをより決めることが求められ、SFとしての起用が増えそうだ。試合の展開次第では日本代表でのように、相手の大きなガードにつくこともありうるだろう。

■渡邉飛勇(琉球ゴールデンキングス→信州ブレイブウォリアーズ)


 跳躍力が魅力でリバウンドとリムプロテクションが主な仕事となる。パリオリンピックでは、上記の役割で存在感を示した。フランス戦ではルディー・ゴベア(NBAミネソタ・ティンバーウルブズ)の両手ダンクをブロックし、衝撃を与えるとともに八村塁(ロサンゼルス・レイカーズ)のアンスポーツマンライクファウルによる退場後も日本が接戦を演じるのに貢献した。

 前所属の琉球ではインサイドに外国籍選手が多く出番は少なかったが、新天地・信州に移ってプレシーズンでは15分以上出場する試合が続いている。オフェンスリバウンドやゴール下からの得点など攻撃面での貢献にも意欲を見せ、「日本人で最高のビッグマンになれる」と自身への期待を隠さない。

■川真田紘也(滋賀レイクス→長崎ヴェルカ)


 パリオリンピックには出ていない。なのに、これほどバスケットボールファンの脳裏にその存在が焼き付いた選手も珍しい。それほどまでに、同オリンピック前の選考過程で川真田は成長と存在感を発揮。ディフェンスでは相手に体をぶつけることが当たり前となり、かつオフェンスでも機動力を向上させ、ピック・アンド・ダイブのダイバーとなる動きから得点をうかがう場面が増えつつある。

 滋賀レイクスでプレーした昨シーズンは出場時間や得点、リバウンドでキャリアハイを記録し、チームのB1復帰に貢献。今シーズンから移籍の長崎ヴェルカはインサイド型の外国籍が多いものの、プレシーズンを見ているとそれでも出場時間は相応に得ており、今シーズンは選手としてもう一段上の領域に入るかもしれない。

文=永塚和志