阿部監督は様々な形でナインの背中を押した(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext  阿部慎之助監督率いる巨人が4季ぶりの優勝を達成した。 原辰徳監督から後を継ぎ、チーム再建を託された青年指揮官…

 

阿部監督は様々な形でナインの背中を押した(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 

 阿部慎之助監督率いる巨人が4季ぶりの優勝を達成した。

 原辰徳監督から後を継ぎ、チーム再建を託された青年指揮官は数々のチーム改革に着手した。

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 キャンプイン前にはレギュラー争いに関して、横一線を強調。主砲・岡本和真をのぞいてレギュラー白紙を打ち出し、各選手の競争意識を高めた。

 開幕直前にはアクシデントもあった。新外国人野手として期待していたバリバリのメジャーリーガー、ルーグネッド・オドーアが開幕2軍を拒否し、急転直下の退団。一方では助っ人野手にも、調整が足りないと見れば2軍落ちを通告と毅然とした対応を見せたことで「勝利至上主義」を印象づけた。

 開幕1軍メンバーにはフレッシュなメンバーを取り込んだことも話題を呼んだ。投手陣ではドラフト1位の西舘勇陽、野手陣ではドラフト3位、4位ルーキーの佐々木俊輔、泉口友汰を入れ、新生・巨人を打ち出した。

 開幕直後は貧打にも悩まされた。一発頼みのチームから脱却すべく、犠打や進塁打が各自しっかりできるように取り組んできたが、得点力不足は否めず。

 風向きが変わってきたのは交流戦で新外国人のエリエ・ヘルナンデスが加入したあたりからだろう。オドーアが退団したことを受け、5月に入団。交流戦開始と同時に1軍合流した助っ人外野手は打撃、守備においてチームに貢献。クリーンアップの座をつかむと8月にプレー中の負傷で離脱するまで、しっかりチームに上昇気流をもたらした。

 一方、長いシーズンを戦う中で、阿部監督は先を見据えて、キャリアのある選手たちに"喝"を入れることもあった。大城卓三、坂本勇人といったベテランも打撃不振に陥ると「ネガティブな意味じゃない」と前置きしながら、ファーム調整の時間を与えた。各自、それぞれ時間を使い、勝負の場に戻ってきた。

 20年のリーグ優勝を最後に直近2年は4位と悔しい思いをしてきた。V奪回が求められる中で常にチームにおいて難しい宿題とされるのは「勝利と育成の両立」だ。 

 常勝軍団において実績がある選手に頼るだけでは、育成は果たされない。難しいテーマに答えを示したのは今季ではなかったか。

 8月中旬には昨年のドラ1、浅野翔吾をファームから呼び寄せた。開幕1軍メンバーに入りながら、4月中に2軍落ちと悔しい思いをした若武者は合流直後の阪神戦で自身初の満塁弾と結果を残すとその後もパンチ力ある打撃で存在感を示していった。

 阿部監督は浅野に対し、優勝争いのひりひりする場を経験することこそ、大きな力になると伝えたとされる。
 
 ほかにも昨年のドラフト2位・萩尾匡也、佐々木、秋広優人などチームには将来性豊かな選手が多い。

 優勝直前にはWBCにも出場したチェコ代表のマレク・フルプを育成契約で獲得したことも話題を集めた。

 長期的な視野に立ったスカウティング、編成も今季のVを達成した要因といえそうだ。

 また、就任1年目のV達成は原辰徳前監督と同じ。同氏は監督を通算17年間務め、球団歴代最多の1291勝、9度のリーグ優勝、3度の日本一を成し遂げた。

 その後を継いだ阿部監督も同じく名将への道を歩むのか。今後もチームを前に進める手腕が期待されそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

 

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