移籍のKBLで先発を担う永田萌絵 9月21、22日に行われた『Wリーグユナイテッドカップ 2024-25』のEASTグループス…
移籍のKBLで先発を担う永田萌絵
9月21、22日に行われた『Wリーグユナイテッドカップ 2024-25』のEASTグループステージ。ユナイテッドカップは今年から始まったWリーグのカップ戦だが、今大会にはWKBL(韓国女子バスケットボールリーグ)から清州KBスターズ(以下KB)が参戦していたことをご存じだろうか。KBは国立代々木競技場 第二体育館で行われた22日の第1試合、2日目のオープニングゲームに登場した。
そのKBには、今オフよりWKBLで導入された「アジアクォーター制※(アジア枠)」によって昨シーズンまでWリーグでプレーしていた永田萌絵(元デンソー・アイリス)と志田萌(シャンソン化粧品シャンソンVマジック)の2名が加入。ティップオフ前の選手紹介では2人とも拍手や歓声を受けたが、中でもスターターとして出場した永田がコートインすると、「モエ、頑張れー」といった声援が沸き上がった。
(※アジアクォーター制は、初年度は日本人選手のみが対象で日本国籍の選手を各チーム2名まで受け入れが可能となる)
「帰ってきたことを迎えてくれている感じがしてうれしかったし、デンソーのときのファンの方も見えたので、それがとてもうれしかったです」と、笑顔が弾けた永田。「日本でできることをずっと楽しみにしていました」という試合では、キレのあるドライブや跳躍力を生かしたシュートなど持ち味を存分に生かしたプレーを披露し、34分22秒の出場で16得点7リバウンド3アシスト5スティールの活躍を見せた。
結果こそ62-68と新潟アルビレックス BBラビッツに競り負けたが、「今日のゲームは自分らしいプレーができたかなと思うので、そういう姿を見てもらえたことはすごくよかったと思います」と、永田は自身の出来を振り返る。現在、10月27日の開幕戦に向けてチーム作りを進めている段階だが、「ヘッドコーチからはセンターの選手に付くこともあるのでフィジカル面もそうだし、ディフェンスでしっかり足を動かすようにと言われています。オフェンスでは自分がアタックして今日の試合のようにドライブからシュートを決めたり、周りを生かたりすることを求められていると思います」という。
初めて迎えるWKBLのシーズンに向けては「ディフェンスで相手の得点源につくことも多いとヘッドコーチから言われているので、しっかりディフェンスの要となるように。まずはディフェンスから頑張ること。そして、得点力をもう少し上げて、3ポイントシュートだったり、ドライブだったり、いろいろな局面で点が取れるように成長してチームに貢献したいです」と、抱負を語った。
「限られた時間の中でチームのプラスになりたい」と志田萌は決意
一方、ガードとしての出場となる志田は、2分34秒の出場。短い時間ではあったが、積極的なドライブからファウルをもらい、そこで得たフリースローしっかりと沈めた。
日本人選手は2名同時にコートに立つことができないため、「試合に出られる時間は限られていることは分かっています。その中でどれだけ自分の持ち味を出してチームに貢献できるかを常に考えていて、出るからにはチームのプラスになりたいと思っています」と、言う。そういった中でも「いつ出てもいいような準備をしたい」と、力強く発しており、特に「メンタル面は大事だと思っていて、(気持ちの浮き沈みが)激しくならないように。そこを保っていくことが自分の成長にもつながると思っています」と、頼もしい言葉を残した。
スピードが持ち味で、それを生かしたいという志田は、「1対1やディフェンスを抜くスキルというのは負けないと実際にやっていて感じますし、アグレッシブさやリングに向かう姿勢も負けていないと思います」と、胸を張る。
チームの中では、1番ポジションをメインに2番ポジションでも起用もあるという。「シーズンは長いし、試合も続くのでチーム状況が変わることもあると思います。そこで自分が常に一定のパフォーマンスでできるかを意識しながらやりたいです」と、永田同様に1年目となるWKBLでのリーグ戦に向け強い思いを語った。
WKBL6チームすべてがアジアクォーター制を採用
「昨シーズンを終え、移籍を考えた中でWKBLのトライアウトを知り、すごく魅力的で、海外でプレーすることの価値が絶対にあると思ったので、大きなチャレンジを選びました」(永田)
「まだ若いので、新しいことに挑戦しても次のことを始められると思ったし、韓国でプレーすることに魅力を感じました」(志田)
6月23日のトライアウトに参加し、ドラフト(当日開催)を経てKBへと入団することとなった2人。KBはウエイトルームをはじめ、施設など環境が素晴らしいと言う。また、寮生活の中で時折出てくる焼肉には、「めっちゃ美味しいです!」(永田)、「サムギョプサルとか焼肉とかが定期的に出くるので、私のモチベーションになってます」(志田)と、食事面でも心配はないようだ。
言葉の面ではまだ「自分の伝えたいことをうまく伝えられなくてもどかしくなるときがある」(永田)ようだが、「チームメートがみんなフレンドリーで話しかけてくれるし、ジェスチャーを交えながら会話しています」(志田)と、勉強中の韓国語や英語などを使いながらコミュニケーションを図っている。
それぞれに並々ならぬ思いを持って飛躍の場を韓国へと移した永田と志田。WKBLはKBを含む6チームすべてに日本人選手が在籍している。WKBLにとっても初の試みとなるアジア枠採用のシーズン。覚悟を決めて臨む日本選手たちの挑戦は、これからも続いていく。
文=田島早苗