第58回スプリンターズS(29日/GI、中山芝1200m)には、3連勝でGI初制覇に挑むサトノレーヴ、連覇を狙うママコチャ、昨年2着のマッドクールなどが出走予定。

本記事では、出走各馬の追い切りを診断し「S」「A」「B」の3段階で評価した有力馬や穴馬をピックアップ。ここでは「ウイングレイテスト」を取り上げる。

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■ウイングレイテスト

【中間調整】デイリー杯2歳Sで2着に入るなど早くから才能を発揮するも、古馬となってからは条件レベルでしばらく足踏み。6歳を迎えた昨年からようやくオープンへ参入し、しばらくはマイル戦をメインに走っていた。しかし10月に3歳春のファルコンS以来の1400m戦挑戦となるスワンSに臨むと、10番人気という低評価をひっくり返しての重賞初制覇を果たす。もとより前々で勝負するタイプであり、そこへ来てブリンカーの効果も相まって距離適性が短い方にシフトしていたということか。この夏は函館スプリントSで2着。サトノレーヴには完敗も、自身初の1200m戦、海外帰り、斤量59キロという悪条件が重なっていたことを考えれば高いスプリント性能を示したものと言っていい。前走・アイビスSDも59キロを背負って4キロ軽い勝ち馬モズメイメイにクビ差2着。ここへ来て一気に充実してきた感がある。

あと1戦夏に使ってサマースプリントシリーズ制覇を狙う可能性もあったが、さすがにこれはタイトということで見送り。スプリンターズSを見据え放牧で英気を養い、8月30日に美浦に戻っている。以降、いつも通り松岡騎手が付きっ切りで調整。1週前のウッド追いは準オープン馬を3秒0追走というハードな内容だったが、手応え優勢で併入に持ち込んだ。馬場の外を回って5F66秒5は秀逸だし、ラスト1Fは10秒9(仕掛け)と圧巻の数字。

【最終追い切り】レース当週も松岡騎手が騎乗。ウッド単走、終い重点で鞍上が反応面を磨き上げることに主眼を置いたような内容だった。落ち着きつつ、しっかり闘志を内に秘めたような雰囲気で進むと、巧みなコーナリングで正対。馬場の内目を通りまったくの馬なりを保って一直線に加速していくと、最後の数十メートルでさらに体を沈めて切れた。この日もラスト1F10秒9(馬なり)をマーク。

【見解】1週前も最終追いも目下の充実ぶりを物語る絶好の攻め気配だ。松岡騎手のコメントによれば、1週前追い直前に他厩舎の馬から蹴られ外傷を負った影響があり、最終追いでもトモの動きに物足りなさがあったとのこと。しかしそれであの迫力満点の動きなわけで、傷がなければどれだけ走ったことか。腱や骨、筋肉の問題でなく外傷であれば、レース本番までにある程度の回復は見込めるはず。枠は厳しいところに入ったし、重馬場も歓迎しないタイプだが、これまで培ってきた“人馬一体の絆”で克服するシーンがあっても。

総合評価「A」

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著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう) 【重賞深掘りプロジェクト】調教ライター。競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。