■清水の勝利は「福森の左足封じ」が前提に J2頂上決戦となる9月28日の清水エスパルス対横浜FCの一戦(国立競技場、18時キックオフ)で、勝敗を分けるマップアップをふたつあげる。ひとつ目は清水のトップ下を務める乾と、横浜FCのダブルボランチ…

■清水の勝利は「福森の左足封じ」が前提に

 J2頂上決戦となる9月28日の清水エスパルス横浜FCの一戦(国立競技場、18時キックオフ)で、勝敗を分けるマップアップをふたつあげる。ひとつ目は清水のトップ下を務める乾と、横浜FCのダブルボランチの攻防だ。乾のボールタッチ数が増えれば、清水が試合の主導権を握る。

 ふたつ目は両サイドだ。

 4-2-3-1の清水は、右SB原輝綺、左SB山原怜音が攻撃に積極的に関わっていく。右MFのルーカス・ブラガ、左MFのカルリーニョス・ジュニオは外側へ張り出すタイプではないため、タッチライン際のレーンは彼らSBが活用する。

 横浜FCはサイドからのクロスが多い。右ウイングバックの山根永遠はリーグ3位タイの7アシストを、左ウイングバックの中野嘉大は5アシストを記録している。清水からすれば、ふたりのブラジル人とSBが連携し、横浜FCのウイングバックを自陣に押しとどめることが勝利への近道となる。

 横浜FCの左サイドでは、左CBの福森晃斗にも警戒だ。その左足からリーグトップの14アシストを記録しており、オープンプレーではボランチのような立ち位置でボールを配球していく。CKやFKをできる限り与えないのはもちろんだが、守備時は4-2-3-1から4-4-2へ可変するなかで、乾とFW北川がどれだけ福森にプレッシャーをかけられるかどうかがカギになるだろう。

■因縁の舞台で進化した姿を見せられるか

 清水はここ4試合連続で失点を喫している。それでも3勝1分と勝点を積み上げているのは、「超攻撃的」を掲げるこのチームらしい戦いぶりと言える。

 気になるのはやはり、横浜FCの守備力だ。四方田修平監督が指揮するこのチームは、複数失点を喫した試合が「3」しかない。リーグ最多得点を記録している清水でも、横浜FCの守備を攻略するのは簡単でない。GK権田修一を中心に無失点でしのぎ、チャンスを確実に生かして勝点3を手繰り寄せる、というのが勝利へのシナリオとなる。

 そのためには、交代カードの仕事も重要になる。

 藤枝MYFCと対戦した前節は、MF矢島慎也が試合を動かした。ダブルボランチの一角で起用され、効果的な縦パスで攻撃のスイッチを入れていった。

 最前線ではドウグラス・タンキとアブドゥル・アジズ・ヤクブが、途中出場から決定的な仕事をしている。さらには高卒ルーキーのFW郡司璃来も、このところは途中出場でピッチに立っている。市立船橋高校で高校ナンバー1FWと言われた19歳がリーグ戦初ゴールをマークすれば、チームにさらなる勢いがもたらされるはずだ。

 横浜FCも交代カードは豊富だ。2シャドーならFW伊藤翔とFWジョアン・パウロ、1トップなら櫻川ソロモン、ウイングバックなら村田透馬らが控える。伊藤は途中出場が多いなかで、チームトップの7ゴールをあげている。36歳の経験豊富なストライカーには、とりわけ注意が必要だろう。

 今シーズンのJ1昇格争いに決定的な影響をもたらす今回の一戦は、東京・国立競技場で行なわれる清水のホームゲームだ。清水は昨年7月にも国立でホームゲームを開催しており、ジェフユナイテッド千葉と2対2で引分けている。

 昨年12月2日のJ1昇格プレーオフ決勝も、国立が舞台だった。1対0でリードした後半アディショナルタイムに東京ヴェルディにPKを献上し、土壇場でドローに持ち込まれてしまう。シーズンの順位で上回る相手に、眼前でJ1昇格を決められたのだった。

 悔しさにまみれる試合後、秋葉監督は「我々はプロだからこそ、勝たなければ何も意味がない」と厳しい口調で自身に、選手たちに問いかけた。

 あのドローゲームを経て、チームはどう変わったのか。国立での横浜FC戦は、清水にとってJ1昇格にふさわしいチームであることを証明する戦いでもある。

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