ちょっと足を伸ばして、離島を走る“島ラン”。今回ご紹介する『与那国島』は“日本最西端の島”ということから、アクセスが難しいように感じるかもしれません。しかし実は、那覇から飛行機で約1時間半、石垣島からは約30分という近さ。距離こそ沖縄本島…

 ちょっと足を伸ばして、離島を走る“島ラン”。今回ご紹介する『与那国島』は“日本最西端の島”ということから、アクセスが難しいように感じるかもしれません。しかし実は、那覇から飛行機で約1時間半、石垣島からは約30分という近さ。距離こそ沖縄本島から離れているものの、意外と行きやすい島なのです。  

 いったいどんな島なのか、詳しくご紹介しましょう。

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大自然に囲まれた1周約30kmのランニングコース

 与那国島には、島を1周できる道路があります。島の外側に沿って大きく回っても、1周はフルマラソンより短い約30km。ゆっくり走っても、半日とかからず回りきれるでしょう。

 与那国島の魅力は、やはりその豊かな大自然にあります。頭上には青空が広がり、周囲には草木が生い茂るコース。ときに心地よい風が吹き、清々しい気分にさせてくれます。

 島内には展望台がいくつか設けられているので、ぜひ立ち寄ってみましょう。それぞれ、異なる絶海を楽しむことができるはずです。どこまでも続く青い海と地平線を眺めていると、「離島にいるんだな」と非日常であることを再確認させてくれます。

 与那国島には4つの牧場があり、与那国馬や牛などが放し飼いにされています。自由に近づけますが、特に与那国馬は後ろに立たないように注意。もしかしたら、蹴り飛ばされてしまうかもしれません。牧草を食べる与那国馬を見ていると、時の流れがゆるやかに感じられる気がします。

 なお、いずれの牧場も柵などが設けられておらず、ときどき与那国馬や牛が道路に出てきていることも。走る場合は、驚かさないように離れて進みましょう。その光景すら、きっと特別なものと感じられるはず。私は走りながら、つい牛に「いい天気だね」なんて話しかけてしまいました。

 与那国島を走るなら、やはり訪れたいのが『日本国最西端の地』。島の西端、公園内にそれを示す石碑があります。私は昼間に行きましたが、時間を合わせて夕日頃に到着するよう走ってみるのも良いでしょう。

 石碑までは宿の多い祖納集落から約7kmなので、夕日を見るためだけに走ってみるのも良いかもしれません。ただし島内の道路には街灯が少ないので、日が暮れた後のランニングはくれぐれもご注意を。

島の歴史に触れられるスポット

 せっかくの離島ですから、その島の歴史に触れてみるのはいかがでしょうか。周回コース上には、そうした歴史スポットがいくつも点在しています。

 祖納集落が一望できる、ティンダハナタにある『イヌガン』。ここには、一人の女性と犬との間における、愛と悲しみの伝説が残されています。

 そして『ダテイクチデイ』。国の重要史跡となっており、沖合の船を監視するために設けられたもの。もともと、火番小屋と拝所があったようです。

走った後は、海にダイブ!でクールダウン

 半日ほどかけて与那国島を走り回ったら、火照った身体をクールダウンさせましょう。クールダウンに最適なのが、島内各所のビーチです。

 こちらは与那国空港や祖納集落から近い『ナンタ浜』。透き通った海には、浅瀬まで魚が見えました。私は時期が良かったのか、なんと貸し切り状態。島の方によれば、「与那国島など離島の海に入ると、沖縄本島の海は汚く見えてしまう」のだとか。この美しい海を目の当たりにすると、それが本当のことなのだと納得させられます。

 宿に戻って泳げる用意を持っていくのも良いですが、余裕があればバックパックで荷物を背負ってしまうのもオススメ。私はあらかじめ海に入っても問題ないインナー&短パンを履き、バックパックにタオルとシュノーケルを入れて走りました。さらにルナサンダルを履いていたので、着替えなんか一切不要。走って海へとたどり着いたら、そのままドボン!と直行です。これも、南国の離島だからこそできる楽しみ方ではないでしょうか。

 自然に恵まれた、日本最西端に位置する与那国島。ランニングを楽しんだ後は、島内各所を散策してみてください。あるいは夜、地元の居酒屋で名産『花酒』を飲んでみるのも良いでしょう。自分の脚で巡るからこそ、きっとさまざまな発見や出会いがあるはずです。

[筆者プロフィール]
三河 賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。またトレーニングサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室、ランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。3児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表。
【HP】http://www.run-writer.com

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<Text&Photo:三河賢文>

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