前人未到の「51-51」にNY記者も衝撃…MVP投票で重視されるWARでリンドーアを逆転【MLB】ドジャース 20ー4 マーリンズ(日本時間20日・マイアミ) ドジャース・大谷翔平投手は19日(日本時間20日)、敵地・ロッキーズ戦に「1番・…
前人未到の「51-51」にNY記者も衝撃…MVP投票で重視されるWARでリンドーアを逆転
【MLB】ドジャース 20ー4 マーリンズ(日本時間20日・マイアミ)
ドジャース・大谷翔平投手は19日(日本時間20日)、敵地・ロッキーズ戦に「1番・指名打者」で先発出場。自身初の3打席連発を含む6安打10打点2盗塁と大暴れし、前人未到の「51本塁打&51盗塁(51-51)」を達成した。今後、注目を集めそうなのがメッツのフランシスコ・リンドーア内野手とのナ・リーグのMVP争いだ。
昨年9月に右肘手術を受け、今季は打者専念となったが、打率.294、51本塁打、120打点、51盗塁。リーグ2冠王へ躍動を続けている。打者成績だけを見れば他の選手を圧倒しているが、ネックは指名打者(DH)で守備に就かないこと。米データサイト「ファングラフス」で、大谷は守備指標「-16.2」。一方、遊撃を守るリンドーアの守備指標は「17.4」。MVP投票で重要視されるWARでは、大谷が前日から0.7増の「7.7」。「7.4」で動きのなかったリンドーアを逆転したが、0.3差と際どい争いとなっている。
2006年、レッドソックスのデビッド・オルティスは54本塁打、137打点でリーグ2冠王に輝いたが、同年のMVP受賞はならなかった。守備のないDHだったことが響いたと言われるが、大谷には従来のDHにはない盗塁があり、何より「51-51」のインパクトがある。62発のア・リーグ新記録を樹立したジャッジと15勝&34発と躍動した大谷のMVP争いとなった2022年は、多くの記者がジャッジのHR新記録のインパクトを高く評価していた。
記者投票のため、当然、記者の主観が入る。全米野球記者協会(BBWAA)のロサンゼルス・アナハイム支部長で米メディア「ジ・アスレチック」のサム・ブラム記者は「最終的な決め手は、投票者がバリュー(価値)をどう測るか」と語っていた。残り9試合がある中で、前人未到の記録を打ち立てた大谷の価値は大きいに違いない。
このマーリンズとの3連戦では、大谷の「50-50」がかかっていたとあって、ニューヨークを拠点に活動する米記者の姿も多くあった。元ドジャース番記者で、現在は全米で活躍するジ・アスレチックのアンディ・マッカロー記者は「クレイジー。ウソだろ」と衝撃を受けていた。そして、“賞レースに有利”と言われるニューヨークと同じ東海岸のマイアミで、偉業を達成したのもニューヨークで活動する記者へ大きなアピールとなるだろう。
MVP投票は各チームの所在する都市から2人ずつ、両リーグ各30人の記者たちによって決まる。これまで多くの記者の声を聞く限り「大谷優勢」なのは間違いない。過去に両リーグでMVPに輝いたのはフランク・ロビンソン(1961年レッズ、1966年オリオールズ)のみ。史上2人目の偉業を達成できるのか、期待は大きく膨らんでいる。(小谷真弥 / Masaya Kotani)