第72回神戸新聞杯(22日/GII、中京芝2200m)には、ダービーから巻き返しを期す京都新聞杯覇者ジューンテイク、春は不完全燃焼だった毎日杯勝ちのメイショウタバル、前走2勝クラスを4馬身差で快勝したメリオーレムなどが出走予定。

本記事では、出走各馬の追い切りを診断し「S」「A」「B」の3段階で評価した有力馬や穴馬をピックアップ。ここでは「ヴィレム」を取り上げる。

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■ヴィレム

【中間調整】オープンクラス初挑戦だったすみれSこそ大きな体を持て余すような感じで1秒2差8着に終わるも、鍛え直されて臨んだプリンシパルSでは最速の末脚を繰り出して0秒3差4着と前進。そこから中4週の自己条件戦でも最速の末脚を使い、きっちり勝利を掴んでいる。そこで半馬身差の2着に下したスティンガーグラスが次戦・1勝クラスを5馬身差勝ち、セントライト記念で再三の不利を受けながら5着なら、ヴィレムの能力も相応に評価すべきだろう。

オーナーサイド(株式会社フクキタル)にとって悲願と言えるクラシックレース初進出をモノにするべく、休養を挟んで神戸新聞杯へ進出することに。8月下旬に栗東へ戻ると30日に坂路で初時計を出し、以降順調に調整が進められている。9月8日の日曜CW追いでは、相手がだらしなかったとはいえ古馬オープン・アスクワイルドモアを置き去りにして1秒以上の先着。自身もラスト1F10秒9(一杯)の脚を繰り出していた。本番で騎乗する松山騎手が跨った1週前CW追いでは、準オープン馬を追い比べからねじ伏せ3馬身の先着。

【最終追い切り】中間に負荷は十分掛かっており、総仕上げのレース当週は近2走同様に小沢騎手が騎乗しての坂路単走調整となった。走路が混雑しており序盤こそ若干力んだが、半ばからは集中し体を大きく使ってグングン加速。ラストはさらに気持ちを乗せて切れた。

【見解】中間の動きは豪快そのものだし、最終追いも素軽さ満点。大型馬の中14週とは思えない、いい気配にある。他馬を気にするなどまだ幼さは残り、揉まれる枠や展開となった際にどうかだが、デキの良さを活かして菊切符獲得というシーンは十分にありそう。

総合評価「A」

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著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう) 【重賞深掘りプロジェクト】調教ライター。競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。