第72回神戸新聞杯(22日/GII、中京芝2200m)には、ダービーから巻き返しを期す京都新聞杯覇者ジューンテイク、春は不完全燃焼だった毎日杯勝ちのメイショウタバル、前走2勝クラスを4馬身差で快勝したメリオーレムなどが出走予定。

本記事では、出走各馬の追い切りを診断し「S」「A」「B」の3段階で評価した有力馬や穴馬をピックアップ。ここでは「メイショウタバル」を取り上げる。

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■メイショウタバル

【中間調整】若駒Sをハ行のため馬場入場後に取りやめたが、その一頓挫から中3週の自己条件・つばき賞で接戦を制し2勝目を挙げてみせた。そこから中3週のスプリングSへ登録するも、こちらはフレグモーネで取り消し。1週スライドした毎日杯は状態面でどうかと思われたが、圧巻の6馬身差逃げ切り勝ちを収め初の重賞タイトルをモノにしている。そこから中2週の強行軍だった皐月賞は稽古、そして実戦でテンションが上がり過ぎ、自滅の格好で最下位17着。日本ダービーは追い切り後に爪を痛め(発表はザ石)、ゲートインならずの取り消しとなった。トラブル続きだが、重馬場を物ともせず駆け抜けた毎日杯の内容、そして休まずに臨戦態勢を取り続けたあたり、そのタフネスぶりは驚嘆レベルのものがある。

春の鬱憤を晴らし、菊の大輪を掴むべく秋は神戸新聞杯から始動。酷暑下の8月中旬に栗東へ戻り、18日からバリバリと時計を消化するという相変わらずのタフぶりを見せつけている。1週前は浜中騎手が騎乗しCWで併せ馬。この馬らしい前進気勢を感じさせつつも自然体で進むと、直線では敢えて仕掛けを遅らせてから3頭併せの真ん中を突き抜けるという、味な内容だった。

【最終追い切り】レース当週も浜中騎手が騎乗し、CW単走で追われた。重心をやや高く見せるが、それはいつものこと。走路に他の馬がいても変にエキサイトせず、鞍上としっかりと折り合って直線に入ると、まったくの馬なりのまま軽快に加速できていた。

【見解】この中間は大人びた走りができており、精神面での進境は著しい。もちろん時間を掛けてじっくりと乗り込まれており肉体や、心肺機能の仕上がりも申し分なしと言える。春で見せたパフォーマンスはまさに“体力お化け”を感じさせるものだったが、そこへメンタルが整ってきたとなれば鬼に金棒か。下り坂という週末の天気予報は、この馬にとって朗報。毎日杯の再現があってなんら驚けない。

総合評価「S」

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著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう) 【重賞深掘りプロジェクト】調教ライター。競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。