またしても角田裕毅(RB)のレースは、あっという間に終わってしまった。 F1第17戦アゼルバイジャンGP決勝は、14周目にピットに戻ってリタイア。しかし実質的には、1周目の途中でレースは終わっていたも同然だった。角田裕毅がまさかの2戦連続…

 またしても角田裕毅(RB)のレースは、あっという間に終わってしまった。

 F1第17戦アゼルバイジャンGP決勝は、14周目にピットに戻ってリタイア。しかし実質的には、1周目の途中でレースは終わっていたも同然だった。


角田裕毅がまさかの2戦連続の早々のリタイア

 photo by BOOZY

 1周目のターン4でランス・ストロール(アストンマーティン)に接触され、右のサイドポッドに大きな穴が空いてしまった。

 こうなるとリアエンドから出るはずの気流が漏れ出てしまい、サイドポッド上の気流を大きく乱す。リアエンドへの気流も大きく乱れ、フロア下から気流を引き出す効果が減少する。その結果として、フロア下で生み出すはずのダウンフォース量も大幅に失われてしまうのだ。

 レース当初はランド・ノリス(マクラーレン)相手に食い下がった角田だったが、周回を追うごとにダメージは大きくなり、ライバルたちに次々とオーバーテイクされて順位を落とし、ステーク勢と争うことしかできなくなってしまった。

 12周目にピットインしてタイヤ交換したものの、その際にマシンをチェックしたチームはこれ以上走っても無駄だと判断し、リタイアすることを決めた。

「すごくフラストレーションですね。2戦連続で同じところにぶつけられて、レースがあっという間に終わってしまいましたから。ポイント獲得は簡単ではなかったと思いますけど、何が起きてもおかしくないサーキットだけに、完走すれば入賞できたかもしれないので、そのチャンスを失ったのも本当に残念です」

 事実、残り2周で2台が絡む事故が起き、ウイリアムズ勢がダブル入賞。ポイント圏外だったルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)とオリバー・ベアマン(ハース)が繰り上がって入賞を果たしている。ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)も11位。ハースの2台に挟まれるグリッド位置からスタートした角田にも、入賞のチャンスは十分にあったことになる。

【バクーは得意なサーキットだったが...】

 1周目のターン4でストロールのマシンは角田車のミラー位置まで並んではおらず、本来ならば勝負を仕掛ける権利はないポジションだった。

 しかし、彼が強引なドライビングをすることは周知の事実で、角田としてはそれを未然に防ぐようなブロックの仕方や、飛び込んで来た相手に対しての回避アクションも取ることができたかもしれない。相手が悪かろうと、自分がレースを失ってしまっては意味がないからだ。


イタリアGPに続いて新型フロアのデータを収集できず

 photo by BOOZY

「ターン4で僕が真ん中のラインを走っているところに、彼がアウトからインに強引に入ってきた。まだ映像を確認していないので詳しいことはわかりませんけど、彼はいつもそうですが、失うものがないような飛び込み方でしたし、不必要な動きだったと思います。

 僕もスペースをもう少し残せたかなというところもありますけど、ほかのマシンとの兼ね合いもあったので、なかなか難しいところでした。こうやって早々にレースを終えなければならなくなってしまったのはすごく残念です」

 それも2戦連続の早々のリタイアであり、新型フロアのデータ収集の機会を大幅に失ってしまったことも事実だ。

 前戦モンツァで投入したものの効果を実感できなかった新型フロアは、このバクーではうまく機能していた。しかしそれがどうしてなのかは、さらに詳しく分析する必要がある。

「ここはモンツァとは違って低速コーナーしかないですし、こういうサーキットでは機能しているようです。ほかのサーキットに行けばまた状況は違ってくるかもしれませんけど、このあともいくつか似たようなサーキットが続きますし、パフォーマンスを引き出し続けていければと思っています」

 チームとしては得意のサーキットであり、高い期待値を持って臨んだアゼルバイジャンGPで、まさかのノーポイント。予選でQ3に行くこともできず、直接のライバルであるハース勢だけでなく躍進著しいウイリアムズ勢にも先行され、ダブル入賞で一気に10点獲得を許してしまった。

【次のシンガポールはドライバーの腕に期待】

 角田は言う。

「後ろのほうからスタートすると、こういうことが起きる可能性も大きくなります。今後はこういうことにも気をつけていきたいし、やはり予選でトップ10に入ることが重要だと思います」

 ライバルとの相対的なパフォーマンス不足が深刻になりつつある。

 2週連戦の開催となる次のシンガポールGPも90度コーナーが連続する、似たような市街地サーキットだ。これまでであれば得意な部類のサーキットと言えたが、アゼルバイジャンでの苦戦を見てしまうと、そうとも言いきれなくなってくる。

 そんななかでも、バクーに比べてストレート成分が少なく、ドライバーの腕でなんとかできる部分が多いシンガポールでは、予選でQ3に進んで堅実なレースがしたい。

「タフなレースになると思いますけど、気持ちをリセットしてがんばりたいと思います。少しでも上のグリッドからスタートできるようにしたいと思います」

 後半戦に入っていまだポイント獲得が果たせていないRBとしては、絶対に落とすことのできないレース週末になりそうだ。