来日期間中の合間に取材に応じてくれたデスパイネ。(C)CoCoKARAnext ベテランの領域に入っても“一線級”で活躍し続けられる理由は何か「久しぶりにキューバで1年間プレーできた。状態的にも…

 

来日期間中の合間に取材に応じてくれたデスパイネ。(C)CoCoKARAnext

 

ベテランの領域に入っても“一線級”で活躍し続けられる理由は何か

「久しぶりにキューバで1年間プレーできた。状態的にも今はかなり良いんだ」

 声の主は、昨シーズンまでソフトバンクに在籍していたアルフレド・デスパイネだ。今年6月に38歳となったベテランだが、その声色は明るかった。

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 昨年12月に契約満了に伴ってソフトバンクを退団して以降、デスパイネの消息が国内であまり大きく取り上げられることはなかった。おそらくコアな野球ファンであれば、知っている話ではあるが、彼は母国キューバの名門アラサネス・デ・グランマでプレーしていた。

 そこで残した成績はまさに衰え知らずといったところだ。そもそも全試合数が75とNPBほど多くはないキューバリーグだが、今季のデスパイネは打率.378、20本塁打、長打率.744、OPS1.319のハイアベレージを記録。本塁打とOPSで“打撃二冠王”となり、日本球界でも見せつけたパワーヒッターぶりを遺憾なく発揮した。

 無論、キューバリーグは「超」がつくほど打高投低が知られたリーグ。NPBというハイレベルな舞台で約10年のキャリアを積み重ねたデスパイネなら容易に好成績を収められるのかもしれない。とはいえ、38歳にして上記のようなスタッツを残すのは、流石と言うほかにない。

 老いてなお意気軒昂。ベテランの領域に入っても“一線級”で活躍し続けられる理由は何なのか。この8月に休暇を兼ねて来日していた本人に訊くと、「とくに何かを変えたということはないんだ。14時のプレーボールに合わせて、フィジカルとメンタルの両方でいい状態を維持することを第一に考え続けている」と教えてくれた。

 年齢的に考えれば、「引退」の二文字がちらついてもおかしくはない。だが、「今は絶好調だ。自分の中では続けられる限りプレーしたい」と強調するデスパイネ。キャリア20年を迎えてもプレーし続けられるワケを説いている。

「もちろん長くプレーし続けたいという想いはずっと持ち続けている。年を取っていくと、身体の反応とかは全然違う。だからこそ今は若手だった頃よりもトレーニングしないといけない」

 メンタル面も血気盛んだった若手時代からは変化している。明るい性格から、どこか奔放なイメージもある元助っ人だが、「今は準備をすることがとにかく大事だと思っている」と冷静沈着に自己分析を口にする。

「30代後半になってから『野球人生はそんなに長くない』と思うようになって、考え方も変わってきた。若手の時は『とにかく野球をするんだ』という感じだったが、1年でも長くプレーすることを考えている。今、40代も目前になって若い選手にこうした自分の経験を教えられることは、次世代のためになると思うんだ」

プレミア12への参戦も決意! デスパイネの尽きぬ意欲

 現在、「絶好調だ」というデスパイネには、大きな「目標」もある。それは今年11月に開催されるプレミア12への参戦だ。

「報道なんかにもある通りだね。もう出場することは決まっていて、9月16日から(キューバで)トレーニングを再開させる。今まで通りに国のために戦うよ」

 そう意欲満々に語るスラッガーは、「優勝することは目標だけど、また東京に戻れるようにひとつ、ひとつに勝つことが大事になる」と自信を漲らせる。

 かつて「アマチュア最強」と恐れられたキューバ代表。その一員としてのデスパイネは銀メダルを獲得した2008年の北京五輪や、4度のワールド・ベースボール・クラシックに参戦してきた。ゆえに国際大会の酸いも甘いも知る。そんな彼の「代表」に対するモチベーションは並大抵のものではない。

「他の国にもそれぞれの目標はあるとは思う。ただ、自分たちは国を背負って戦って勝つこと、そして自分たちの国が強いことを証明したいと子どもの頃からの目標なんだ。そのメンバーに入ることは、本当に光栄なことなんだ」

 今回のプレミア12でキューバは、予選で日本、韓国、台湾、オーストラリア、ドミニカ共和国と同組となった。優勝のためにはアジアの列強を中心とした難敵を退ける必要がある。

 NPBでの経験も豊富なデスパイネは、「日本にも気になる投手はたくさんいる」と睨みを利かせながら「全般的に技術レベルの高い投手が揃っている。彼らを打つために準備をするよ」と意気込んだ。

 こと短期決戦において、ツボにはまった彼は手のつけようがない。井端弘和監督が率いる日本代表にとっても恐い存在になり得るだけに、38歳だからと侮ってはいけない。

[取材・文:羽澄凜太郎]

 

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