ドヘニーを寄せ付けずにタイトルを防衛した井上。その成果は高まる一方だ。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext  ボクシング界で「モンスター」の異名を轟かせる偉才のカリスマは、日本のみならず、…

 

ドヘニーを寄せ付けずにタイトルを防衛した井上。その成果は高まる一方だ。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 

 ボクシング界で「モンスター」の異名を轟かせる偉才のカリスマは、日本のみならず、世界でも声価を高めている。

 キャリア28戦無敗(25KO)と敵なしの強さを誇る井上尚弥(大橋)。スーパーバンタム級4団体統一王者として迎えた2度目の防衛戦も、元IBF世界同級王者の名手テレンス・ジョン・ドヘニー(アイルランド)を圧倒。7回に相手がたまらずに棄権する怒涛のラッシュで勝負を決め、危なげなく防衛を果たした。

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 戦前の公言通りに何もさせなかった。そんな貫録の防衛戦を終えた試合後、大物プロモーターの発言は小さくない注目を集めた。共同プロモーターを務める米興行大手『TOP Rank』のボブ・アラムCEOが、「ショウヘイ・オオタニの試合には多くの日本人が観戦に来る。だから、今、イノウエの試合をラスベガスで行えば、日本人も来てくれる」とビッグプランを示唆していたためだ。

 井上が米国再上陸を果たせば、2021年6月のマイケル・ダスマリナス(フィリピン)戦以来となる。以前から“米進出待望論”も囁かれていただけに、実現すれば、いかなるカードでも関心を集めるのは間違いない。

 そうした中で、井上が日本に留まり、いわゆるホームで王座戦を続けようとも「評価は変わらない」と主張する識者もいる。ボクシング大国のスポーツジャーナリストで、“ボク百科事典”の異名を持つラロ・カマレナ氏だ。

 ドヘニー戦後に米ボクシング専門メディア『Pro Box TV』のメキシコ版の番組に出演したカマレナ氏は「イノウエは世界ナンバーワンであることを証明している」と断言。米国進出について「彼はすでにアメリカで試合をこなしているし、日本において彼は国民的英雄のようなアスリートだ。アメリカにいかないとしても彼の偉大さに影響はない」と主張した。

「イノウエの試合の入場シーンを見れば、彼が日本でどれだけの存在なのかが分かる。あそこにすべてが表れている。アリーナは常に満員で、当然ながら報酬もそれが反映されている。アメリカでほとんど試合をしていないわけだが、それが彼の評価を下げることに繋がるとは思えない」

 熱弁を振るうカマレナ氏は、こうも続ける。

「それにイノウエは日本で他のボクサーたちよりも大きな収益を生み出している。彼は今、日本で最も偉大なアイドルであり、世界的に見ても彼を超える者はいない。イノウエは単なるスポーツヒーローじゃないんだ」

 5月6日に行われた東京ドーム興行でも莫大な収益を生み出すなど、稀有な市場価値は示してきた井上。世界の大物ジャーナリストをも唸らせる唯一無二の存在感を放つ怪物は、この先にどのようなキャリアを歩むのか。その動静に注目だ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

 

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