「広島0-5巨人」(12日、マツダスタジアム) 激痛を通り越してもはや虚無だ。広島は天王山の3連戦で首位・巨人に完膚なきまでにたたきのめされ、早くも9月2度目の4連敗。ゲーム差は今季最大タイの4に広がった。今季の無得点試合はこれで1962…

 「広島0-5巨人」(12日、マツダスタジアム)

 激痛を通り越してもはや虚無だ。広島は天王山の3連戦で首位・巨人に完膚なきまでにたたきのめされ、早くも9月2度目の4連敗。ゲーム差は今季最大タイの4に広がった。今季の無得点試合はこれで1962年以来62年ぶりとなる23度目。「まだまだチャンスはある」。新井貴浩監督(47)は現実を受け止めつつ、次戦へと目を向けた。

 九回裏の攻撃を待たずして、スタンドの鯉党がさざ波のように帰路に就いて行く。大逆転負けを喫した前日と同じ光景だった。3点ビハインドの九回、大道が丸にトドメの2ランを浴びた。再奪首への期待感を持って臨んだ首位攻防3連戦で屈辱の3連敗。新井監督は「チャンスはまだまだあるので、また明日に向かって行きたいと思います」と前を向くことしかできなかった。

 頼みの投手力に陰りが見られ、打線の反発力も乏しい。この日も負のスパイラルを抜け出すことはできなかった。先発・床田が三回に悪送球から先制点を与えるなどして3失点。点数以上に重い数字がスコアボードに刻まれると、スタンドは一気に沈黙した。

 打線は相手先発・戸郷の前に拙攻が続いた。0-0の二回無死一、二塁で末包が遊ゴロ併殺に倒れて無得点に終わると、六回1死満塁の絶好機では堂林と末包が連続空振り三振。あと1本が出ない-。今季何度も見られた展開で、球団では1962年以来62年ぶりとなるシーズン23度目の無得点試合での完封負けとなった。

 得点圏で3度の凡退となった末包は「チームとしてチャンスをつくっていた中で回ってきた自分がああいう結果になったのは、完全に僕の責任かなと思う」と落胆の色を隠しきれず。「スエ任せたぞ」と送り出した新井監督はベンチで表情を崩さずに戦況を見つめた。

 これでチームは9月に入って2勝8敗。先制された7試合は全敗となり、マツダスタジアムでの巨人戦の同一カード3連敗は20年7月以来、4年ぶりとなってしまった。

 6年ぶりのリーグ制覇への機運は悪夢のような3日間を経て、急速にしぼんだ。指揮官は「自分も含めて各自しっかり。反省するところはあると思うので、反省して…」と自らにも言い聞かせるように先を見た。後ろを振り返れば、ゲーム差なしで3位・阪神、2差で4位・DeNAが迫ってきた。

 これが混セの怖さか。13日からは敵地・甲子園で阪神との2連戦を戦う。全てが手遅れになる前に上昇への一手を打ちたい。