2026年北中米W杯アジア最終予選序盤2連戦で12得点無失点という華々しい成果を挙げ、勝点6を手に入れた日本代表。森保…
2026年北中米W杯アジア最終予選序盤2連戦で12得点無失点という華々しい成果を挙げ、勝点6を手に入れた日本代表。森保一監督が6月シリーズから採用した3-4-2-1の新布陣が想像以上に機能し、破壊力ある攻撃が見せられている。
三笘薫が突出した地位を築いたと言っていい左ウイングバック(WB)とは異なり、右WBの方は今もなお激戦区。ここ2試合は堂安律が先発し、攻守両面で獅子奮迅の働きを見せたものの、中国戦・バーレーン戦ともに決定機がありながら決めきれなかった。
10日のアウェー戦では開始9分、三笘が入れたファーサイドを狙った絶妙のクロスに鋭く飛び込み、滑りながらシュートを打ったが、惜しくも左ポストを直撃。「いいボールが来たので、決めなければいけない状況だったと思います」と本人も苦笑した。
その後はバーレーンのキーマンの1人であるマルフーン(8番)を警戒。最終ラインまで下がって守備に奮闘する姿が際立った。森保一監督も「相手がサイドチェンジを入れて、サイドを狙ってきていて、堂安がいい対応で防いでくれていました」と称賛したが、攻撃面ではモヤモヤ感が残ったはず。結局、前半で交代となり、チームの勝利に貢献したものの、「今日の僕は完全に不完全燃焼」と本人が言うのも頷けるところがあった。
■堂安律が語る伊東と自身のそれぞれの武器
ゴールラッシュを見せた2列目アタッカー陣で唯一無得点に終わった悔しさも色濃く残ったはず。堂安自体の価値が下がったわけではないが、2戦連続で途中出場し、中国戦で1得点2アシスト、バーレーン戦で1アシストと数字を残した伊東純也のインパクトに比べるとどうしても見劣りする部分があったというしかない。
「タテで勝負できる純也くんの武器がチームの武器だと言うのは分かっていますし、僕の左足の精度というのもチームの武器になっているのはわかっている。もっとチームが困ったときに、自分が必要になるかなと思います」と堂安は話したが、今後、2人の出番が逆になっていくことも考えられる。
そもそもアジアカップまでは伊東が先発、堂安がジョーカーという位置づけが多かった。ご存じの通り、伊東が7カ月間代表を離れている間に3バックが導入され、堂安も右WBとして新境地を開拓したことで、最終予選スタートからレギュラー起用される形になっている。
守備強度や左の三笘とのバランスを考えると右の堂安はいいチョイスだが、もっと両ウイングを高く上げて攻撃的に行きたいと考えるなら伊東をスタートから出す方がメリットが大きい。そのあたりを指揮官はどう判断していくのか…。
■堂安律が「ムリしてでも上げよう」と話すコンディション
最終予選前半戦の山場と言われる10月のサウジアラビア(ジェッダ)・オーストラリア(埼玉)2連戦はまだ予想がつかないが、それぞれの所属クラブでの出来やパフォーマンスが1つの判断材料になる。だからこそ、9~10月のリーグ戦でコンディションをより引き上げていくことが肝要だ。
「次の代表戦までに意識すること? コンディション自体、完全に上がりきっていないので。ムリしてでも上げようかなと思います」と背番号10も強調していた。堂安が文句なしの切れ味と鋭さを示し続ければ、今のスタート要員という立場は変わらないはずだ。
伊東の方もフランスでより存在感を高め、代表7か月不在のブランクを埋める努力をするべき。2人が高いレベルでしのぎを削ることが、強い日本を作る原動力になる。彼らにはグイグイとチームを引っ張り続けてほしいものである。
(取材・文/元川悦子)