8日のパリ・パラリンピックの女子マラソン(視覚障害T12)で、山口県下関市出身の道下美里選手(47、三井住友海上)が銅メダルを獲得した。4位でゴールした後に繰り上がった。粘りの走りをたたえていた母校の関係者は「遅れてきた朗報」に喜びをかみ…

 8日のパリ・パラリンピックの女子マラソン(視覚障害T12)で、山口県下関市出身の道下美里選手(47、三井住友海上)が銅メダルを獲得した。4位でゴールした後に繰り上がった。粘りの走りをたたえていた母校の関係者は「遅れてきた朗報」に喜びをかみしめた。

 下関市役所の1階ホールにパブリックビューイング(PV)会場が設けられ、集まった市民ら約50人は、ゴール手前から拍手をしながらその瞬間を見守った。

 タイムは3時間4分23秒。東京パラリンピックで金メダルに輝いた後、けがに悩まされた道下選手は、レース後のインタビューで「3年間、うまくいかないことばかりだったが、仲間の支えでここまでこられた」と声を詰まらせた。上位3人に離される厳しい展開の中、「自分のリズムでいけば必ずとらえられる、きつい中でも粘って粘ってという気持ちで走っていた」と振り返った。

 道下選手が26歳で入学した県立盲学校(現・県立下関南総合支援学校)で同級生だった同市の李春子さん(69)は、PV会場の前列で中継を見守った。ゴール後、涙をぬぐって「けがに負けず頑張った」と話した。

 「4位」という結果のままPVは散会したが、3位だった選手がゴール直前で伴走者の手を握ったことで失格になり、道下選手が「3位」に。

 同支援学校の山本千名美校長はPVからの帰宅後、そのニュースを知って驚き、喜んだ。「あきらめない姿に胸が熱くなった。順位を上げようと4位をキープしていたからこそ」とたたえた。9日朝の職員朝礼で「先輩の美里さんが頑張ったよ、とクラスで伝えて下さい」と話したという。(奥村智司)