5日の中国戦では3-4-2-1の新布陣で大きな成果を挙げた日本代表。 「僕の勝手な予想になってしまいますけど、このまま何かハプニングが起きない限りは3でやるんじゃないですかね。僕らは時間がないので、初戦で3バックを使ったということは、今の…
5日の中国戦では3-4-2-1の新布陣で大きな成果を挙げた日本代表。
「僕の勝手な予想になってしまいますけど、このまま何かハプニングが起きない限りは3でやるんじゃないですかね。僕らは時間がないので、初戦で3バックを使ったということは、今のところ第一にオプションが3バックなんじゃないかと思います」と久保建英が語っていたが、森保一監督も「勝っている時はチームを変えない」という定石通り、3バックを継続する見通しだ。
それは守田英正(スポルティング・リスボン)ら選手側の要望もあってのこと。
「守る時はしっかり5枚引いて守れるし、攻撃はある程度、高い位置取り始めたならウイングバックを上げて5枚、ないしボランチの1枚が上がれば3-1-6ぐらいになるので、三角形も簡単に前で作れている。自然とうまくいっているし、メリットが大きい感じ」と背番号5をつける中盤の要も前向きに言う。
ただ、バーレーンという相手は中国ほど簡単ではない。5日のオーストラリア戦では7割ボールを支配されながらも、粘り強く戦い、後半22分に相手の退場者を誘発。最終的に左サイドから攻略し、タテに上がった左SBアブドゥ・アルハラシ(23番)がオウンゴールを決め切っている。
■右CBに求められるもの
そのタフさとしぶとさはやはり侮れない。アジアカップの後、ボスニア・ヘルツェゴビナ人のタライッチ監督が指揮を執り、基本布陣が4-4-2にシフトしたことも奏功している様子だ。
彼らの得点場面にフォーカスすると、左MFのマハディ・アル=フメイダン(20番)が好連携を披露。ワンツーからアルハラシがインナーラップし、右SBと右CBの間を侵入。そこからシュートが入る形になった。日本は3バックだから同じような形にはならないだろうが、右WBに入る伊東純也(スタッド・ランス)と右CB候補の板倉滉(ボルシアMG)とより強固な関係性を見出す必要がある。
伊東の特徴はご存じの通り、高い位置を取って敵の脅威になれること。2022年カタールW杯で見せたように最終ラインに下がって守備もできる。ただ、右MFに入る時よりも走る距離が長くなるため、右CBが個の力で相手を確実に封じることが重要になってくる。
CB本職の板倉がそのまま継続して出る分にはリスクはそう高くないはず。ただ、彼がサイドに引き出されるような展開が増えるのはよくない。3バックの弱点であるコーナー付近のスペースをどう守るか。そこはしっかりすり合わせておくべきだ。
■他の候補は菅原由勢、高井幸大か
一方で、右CBに板倉以外の人材が入ることも想定しておいた方がいい。中国戦で途中出場した高井幸大(川崎)、4バックの右SBを本職とする菅原由勢(サウサンプトン)あたりが候補者で、仮に菅原がこの位置を担うのであれば、1つのチャレンジになる。
ご存じの通り、伊東と菅原は2023年に発足した第2次森保ジャパンで右のタテ関係を形成。お互いに特徴を知り尽くしている。ただ、ポジションが変わるとお互いのバランスも微妙に変化する。そこにボランチや右シャドウの選手も絡んでくるため、迅速な適応力が求められてくる。
森保監督としても、新天地・サウサンプトンで定位置を確保している菅原をどこかで使いたいという考えは強いはず。伊東を途中で下げて菅原を右WBに据える、あるいは4バックにシフトして右SBに起用するなど、さまざまなプランはあるが、3バックの右もトライさせておいた方がベター。「3バックになったから菅原はベンチ」という状況はあまりにももったいない。彼に最終予選を経験してもらうことは、今後にも確実につながってくる。そこは強く意識してもらいたい。
失敗が許されない公式戦で、勝ちながら選手起用のバリエーションを増やしていくというのはハードルが高いが、それをやり切ってこそ、本気でW杯優勝を狙えるチームになれる。指揮官のマネージメント力に改めて注視していきたいものである。
(取材・文/元川悦子)