中国相手に7-0という凄まじい攻撃力を見せつけ、”鬼門”と言われたワールドカップ(W杯)アジア最終予選初戦を突破した日本代表。これで2026年北中米W杯に向け、幸先のいい一歩を踏み出したわけだが、10日の次戦・バー…
中国相手に7-0という凄まじい攻撃力を見せつけ、”鬼門”と言われたワールドカップ(W杯)アジア最終予選初戦を突破した日本代表。これで2026年北中米W杯に向け、幸先のいい一歩を踏み出したわけだが、10日の次戦・バーレーン戦(リファー)はまた違った戦いになるはずだ。
「印象というか、予想になってしまいますけど、結構、前から来るんじゃないかなと個人的には思っていて。相手が日本とはいえ、オーストラリアにアウェーで勝っているので、僕が相手の監督だったら、後がないわけではないし、ホームの観客の前で恥ずかしい試合を見せられない。『前から行こうよ』という話をすると思うので、結構激しく前から来るじゃないかなと、僕らの中国戦を見て、3トップに3バックをぶつけてくるんじゃないかなと思います」と久保建英(レアル・ソシエダ)は大胆な見方をしていた。
本当にそういう展開になるかどうかは未知数だが、18時時点でも気温35度超の高温多湿の環境下で、日本としては”省エネ”を考えながら戦う必要がある。主導権を握って、相手を走らせる戦いに持ち込めれば理想的。そのためにも、前回同様、早い時間帯の先制点がほしいところだ。
■上田綺世の得点のイメージ
特にゴールを求めたいのがFW陣。というのも、中国戦では1トップに陣取った上田綺世(フェイエノールト)と小川航基(NECナイメンヘン)からゴールが生まれなかったからだ。三笘薫(ブライトン)、南野拓実(モナコ)、伊東純也(スタッド・ランス)、前田大然(セルティック)、久保と2列目アタッカー陣は軒並み得点を奪っているのに、FWがノーゴールというのは、どうしても「何か足りない」という印象が拭えない。
「チームとしては自分たちが狙いとしていたことを数多く出したんじゃないかと思いますけど、自分でもっとチャンスメークして、シュート数を増やさないといけない」と前回シュートゼロに終わった上田は悔しさをにじませた。
目下、FWのファーストチョイスと位置づけられるこの男が連続先発するかどうかはコンディション次第。今季フェイエノールトで終盤しか出場していないことを踏まえると体力的な不安は少なからずあるが、森保一監督は1~2月のアジアカップ(カタール)の連戦でも彼を重要局面で起用し続けた。それだけ厚い信頼を寄せているうえ、同大会ラウンド16の前回バーレーン戦でも点を取っている分、上田への期待は大きいはず。今回もスタートから使う公算が大と見ていい。
「チームとしていろんな攻撃のバリエーションを持つことが1つ大事。相手の戦術とか、こっちのメンバーとかいろんな兼ね合いはあるにしても、やっぱり攻撃の幅っていうのは必要になってくる。中央のところもそうだし、サイドアタックに絡む時あるだろうし、いろんなところで自分の力を発揮できたらいいのかなと思います」と彼は多彩なパターンを駆使して1点を貪欲に狙っていくつもりだ。
■小川航基への期待
オーストラリア戦のバーレーンは4バックだったが、久保の言うように前から来るのであれば、中国戦よりはスペースが空く。上田がフィニッシュに持ち込めるチャンスも増えるのではないか。外からのクロス、2シャドウとの連携などで決定機が訪れたら、あとは冷静にシュートを決めればいい。
やはり絶対的な点取屋から得点が生まれないと、日本代表は盛り上がらない。彼に託される責務はやはり大きい。
そしてもう1人、小川も前回、伊東純也のクロスからのヘッドをクロスバーに当てるという惜しいシーンがあっただけに「何としても次こそは決めたい」と躍起になっているはずだ。外からのボールに対する競り合いの強さという意味では、むしろ上田より小川に優位性がある。
おそらく今回も途中出場になると見られるが、その時間帯になれば、ゴール前にはかなりスペースが生まれているかもしれない。そういう状況なら、「自分は今、日本の中で一番点を取れるFWだと思っている」という自負を持つ点取屋は確実に仕留められるはずだ。
東京五輪世代の2人のFWが爆発してくれれば、今後の最終予選を戦っていくうえで、大きな弾みがつく。できることなら、アベックゴールを期待したいものである。
(取材・文/元川悦子)
(後編へ続く)