ドヘニーを危なげなく退けた井上。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext  東京で発揮された“モンスター”の強さは、ライバルの母国も震撼させた。 9月3日、ボクシングの…

 

ドヘニーを危なげなく退けた井上。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 

 東京で発揮された“モンスター”の強さは、ライバルの母国も震撼させた。

 9月3日、ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)は、東京・有明アリーナで元IBF世界同級王者のテレンス・ジョン・ドヘニー(アイルランド)と4団体防衛戦で対戦。7回TKO勝利を飾った。

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 文字通りの完勝だった。「12ラウンドを通して組み立てようかなと」と試合後に振り返った井上は、序盤こそ静かな入りを見せる。だが、ギアを上げた6回に猛ラッシュで畳みかけてドヘニーを防戦一方にすると、続く7回にふたたび連打。一気呵成の攻撃で強打を矢継ぎ早に繰り出すと、被弾したドヘニーが腰を押さえて棄権した。

 一切の反攻の余地を与えない貫録の試合運び。絶対王者たる所以を存分に見せつけた井上には、ボクシングの酸いも甘いも知る大物コラムニストも下を巻く。“キンシャサの奇跡”と語り継がれるモハメド・アリとジョージ・フォアマン(ともに米国)のWBA・WBC世界ヘビー級タイトルマッチなど歴戦を取材してきたコリン・ハート氏だ。

 群雄割拠のボクシング界。その中で数多の名手たちを見定めてきたハート氏は、英紙『The Sun』のアイルランド版で「モンスター。その定義は、残酷で、恐ろしく、邪悪な巨人だろう。一見して寿司の皿ですらひっくり返す力もなさそうな、天使のように小さな日本人ではない。だが、ナオヤ・イノウエは違う。彼はひとたびリングに上がれば、恐ろしい存在になる」と指摘。小柄な肉体に秘められた井上の異能ぶりを絶賛する。

「世界的に『ザ・モンスター』の異名で知られるイノウエは、身長170センチで、肩幅も縫い針ほどしかない。だが、彼は異常なパワーの持ち主だ。さらに3人しかいない2階級での4団体統一も果たしている。彼はジャック・デンプシー、ジョー・ルイス、モハメド・アリ、シュガー・レイ・ロビンソン、フロイド・メイウェザーJr.マニー・パッキャオといった古今東西の伝説的偉人たちと並ぶ。イノウエという名は永遠に記憶され、尊敬される」

 9月3日の防衛戦も「ドヘニーは心の底では勝てる見込みがないことを知っていたに違いない。彼は顎への致命的な一撃から自分を守るために守備的な生き残り策を講じただけだった」と伝えたハート氏は、いまだ敵なしの井上をこうも表現している。

「キャリアの絶頂期にある今のイノウエの仕事ぶりには、目から鱗が落ちる。あらゆる動作にスピードがあり、正確で、一発のパンチも無駄にしない。彼はドヘニーに対してもっとド派手なKOを望んでいただろうが、十分すぎる内容だった。繰り出す一撃、一撃が相手を傷つけていたのは間違いない」

 往年のスターたちも間近で見てきた大物記者にも「異常」と言わしめる井上。その事実も「モンスター」の凄みを物語っていると言えよう。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

 

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