ドヘニーを巧みな試合運びで圧倒した井上。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext ベテランチャレンジャーを危なげなく退けた“モンスター”への賛辞が止まらない。9月3日…
ドヘニーを巧みな試合運びで圧倒した井上。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext
ベテランチャレンジャーを危なげなく退けた“モンスター”への賛辞が止まらない。9月3日、東京・有明アリーナで元IBF世界スーパーバンタム級王者のテレンス・ジョン・ドヘニー(アイルランド)との4団体防衛戦で7回TKO勝利を飾った世界同級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)だ。
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微塵の隙も見せない貫録の内容だった。「12ラウンドを通して組み立てようかなと。後半見せ場を作ろうと思っていた」という井上は、ドヘニーの強打を警戒しつつ、パンチを引き出そうと慎重な入りを見せた。だが、相手が守勢を保った6回にギアを入れた。そこからまさに一方的な試合を展開した。
フィニッシュは一気呵成の連打で決めた。6回終盤にラッシュを打ち、畳みかけていた井上は、7回も開始早々から左ボディーなど矢継ぎ早に繰り出した。すると被弾したドヘニーが腰を押さえて歩き出し、まさかの棄権。あっけない幕切れとなった。
パワー自慢の元世界王者を守勢にさせた。その堂々たるパフォーマンスには、レジェンドファイターからも称賛の言葉が向けられた。米YouTube番組『Pro Box TV』に出演した元WBO世界スーパーライト級王者のクリス・アルジェリ氏は「試合前の控室でイノウエは、序盤のラウンドで実践したように、右手に緊張感を保とうとしている練習風景が見られた。それは彼が未だに成長し続け、技術を磨き、ネリ戦で犯した自分のミスから学ぼうという姿勢を示している。だからTKOで勝ったことは称賛に値する」と指摘した。
今年5月のルイス・ネリ(メキシコ)戦の初回にキャリア初ダウンを喫していた井上。本人も「緊張感はある」と振り返った局面を引き合いに出したアルジェリ氏。一方で戦前の下馬評が決して高くはなかったドヘニーに対しても「(ドへニー)が衰えているという意見は馬鹿げたものだ」と強調。37歳が選んだ守戦について「パンチも、技術もイノウエに敵わない。だからとにかく相手をイライラさせようとしていた。どこかトリッキーなベテランのような戦いだった」と論じた。
次戦は12月に日本国内でWBOとIBFの指名挑戦者であるサム・グッドマン(豪州)戦が見込まれる。これが実現すれば、2017年のスーパーフライ級時代以来となる年間3試合をこなす。まさに衰え知らずのタフネスさについてもアルジェリ氏は「彼はキャリアの最盛期でタフに戦い続け、チャンスを最大限に活かし続けている。もっと多くのファイターがそうあるべきだ」と強調している。
敵なしの強さを維持し続ける“モンスター”。その強さに対する賞賛はしばらく止まりそうにない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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