2024年シーズン全日本ラリー選手権第8戦「RALLY HOKKAIDO」の初日は、9月7日(土)に8カ所のスペシャルステージを走行。トップカテゴリーのJN-1クラスは、新井大輝/松尾俊亮(シュコダ・ファビアR5)が、ハリー・ベイツ/コーラ…

2024年シーズン全日本ラリー選手権第8戦「RALLY HOKKAIDO」の初日は、9月7日(土)に8カ所のスペシャルステージを走行。トップカテゴリーのJN-1クラスは、新井大輝/松尾俊亮(シュコダ・ファビアR5)が、ハリー・ベイツ/コーラル・テイラー(トヨタGRヤリス・ラリー2)に51.6秒差をつけて、初日トップに立った。1分17秒8差の総合3番手には奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス・ラリー2)がつけている。

シーズン初のグラベルイベント第6戦カムイから約2カ月のインターバルを経て、シーズンの天王山、帯広を拠点とする第7戦ラリー北海道を迎えた。SS総距離が100kmを超えるグラベルラリーとなるラリー北海道、そのポイント係数は1.5。レグポイントを合わせて、最大33点を獲得できるビッグイベントとなる。

ラリー初日は、午前中に「パウセカムイ・リバース(9.81km)」と「リクベツ・ロング(4.63km)」を、「ヤム・ワッカ(23.49km)」を挟み2回走行。陸別に設けられた20分のリモートサービスを経て、午後は2回目の「ヤム・ワッカ」、3回目の「パウセカムイ・リバース」と「リクベツ・ロング」を走る8SS、90.30km。他のラリーであれば、2日間に相当する距離を1日で駆け抜ける。

今回、全日本ラリー選手権を戦うTGR WRJと、TGRオーストラリア(TGRA)、オーストラリアラリー選手権(ARC)に参戦するニール・ベイツ・モータースポーツ(NBM)が相互交流を実施、ハリー・ベイツ/コーラル・テイラー組が、ARCで使用するトヨタGRヤリス・ラリー2をラリー北海道に持ち込み、JN-1クラスにエントリーした。また、同じ試みで、先月のARC第4戦ギップスランドラリーに参戦した大竹直生/橋本美咲が、この時ドライブしたGRヤリスで、JN-1クラスに初参戦する。

木曜日夜半に雨があったため、一部濡れているセクションが残っているものの、7日土曜日のコンディションはほぼドライ。WRCでもお馴染みオープニングのSS1パウセカムイ・リバース1は、日本のラリーを初めて走るベイツが、新井大輝に0.3秒差、ヘイキ・コバライネン/北川紗衣(トヨタGRヤリス・ラリー2)に4.0秒差をつけるベストタイムで駆け抜けた。

続くSS2リクベツ・ロング1は奴田原文雄が、新井大輝に0.1秒差、ベイツに0.8秒差のベストを刻み、これで新井大輝がベイツをかわして、トップに浮上。3番手につけていたコバライネンがスピンを喫し、リバースを使ったことで20秒近くをロスし、7番手にドロップ。首位から3.7秒差の3番手に奴田原、7.6秒差の4番手に勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス・ラリー2)、12.2秒差の5番手に新井敏弘/井上草汰(スバルWRX S4)と、それぞれ順位を上げている。

多くのドライバーが勝負の鍵になると指摘したのが、今回最長の23.49kmを走るSS3ヤム・ワッカ1。新井大輝がベイツに2.4秒差をつけ、今回初のベストタイムを刻む。SS1をリピートするSS4、エンジンのポップオフバルブにトラブルが発生したベイツはペースが上がらず、新井大輝が連続ベスト。SS5はリクベツ・ロング2は「以前の感覚が戻りつつある」と語ったコバライネンが、今回初のベストタイムを記録している。

午前中のセクションを終えて、首位新井大輝と2番手ベイツの差は5.2秒。3番手の奴田原は24.1秒差、4番手の勝田は30.1秒差、5番手のコバライネンは37.1秒差と、すでに大きく離れており、優勝争いは新井大輝とベイツに絞られたと言えそうだ。

ヤム・ワッカ、パウセカムイ・リバース、リクベツ・ロングを1回ずつ走る午後のセクション。SS6ヤム・ワッカ2は、首位の新井大輝は2番手の勝田に18.8秒差、直接のライバルのベイツには29.1秒の大差をつける圧倒的な一番時計をたたき出した。これで新井大輝はベイツとの差を34.3秒まで一気に突き放した。また、奴田原をかわし、勝田が3番手に浮上。5番手を走行していたコバライネンは、ギヤボックストラブルにより11分以上をロスし、クラス最下位まで順位を下げている。

新井大輝はSS7パウセカムイ・リバース3をベスト、この日の最後を締めくくるSS8リクベツ・ロング3は、コバライネンに続く2番手タイム。ベイツとの差を、安全圏ともいえる51.6秒にまで拡大した。盤石の展開を披露した新井大輝は、次のようにタフな初日を振り返った。

「いつもどおり、僕らは最初のループがシェイクダウンのようなものなので、2周目でようやくラリーができたという感じです(笑)。やはり2カ月空いてしまうと、ブレーキングやクルマの動かし方が雑になってしまいます。午前中はそれが顕著で、タイヤを虐めてしまったので、午後はそれを修正してクリーンにトレースすることを心がけました。そうしたら、タイムが上がりました」

ポップオフバルブにトラブルを抱えながら、2番手をキープしたベイツは「SS4の走行中に、ブーストを制御するポップオフバルブにトラブルが発生した。以降、フルパワーで走ることができなくなって、タイムロスすることになった。ヒロキにとっては、楽な展開になってしまったね」と、肩をすくめた。

SS7では3番手につけていた勝田がスタートから700m地点でコースオフを喫して、デイリタイア。これで3番手に奴田原が順位を戻した。首位から1分17秒8差の3番手で走り切った奴田原は「午後は轍も深くなったり、埃が滞留するようになったりと、なかなか大変でした。勝田選手がリタイアしてしまったので、明日はあまり無理をせず、このまま頑張ります」と、慎重にコメントしている。

1分49秒9差の4番手にはサバイバル戦で存在感を見せた新井敏弘。3分07秒9差の5番手は、ベテラン勢に割って入る好走を見せた大竹、3分19秒9差の6番手に鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX STI)がつけている。