サッカー日本代表の2026年ワールドカップ出場をかけたアジア予選が9月5日から始まる。来年6月まで続く長丁場で、日本はどんなメンバーで戦うべきだろうか。一戦必勝のベストメンバーを組むのか、本大会を見越した選手選考・起用をするのか。さまざまな…

サッカー日本代表の2026年ワールドカップ出場をかけたアジア予選が9月5日から始まる。来年6月まで続く長丁場で、日本はどんなメンバーで戦うべきだろうか。一戦必勝のベストメンバーを組むのか、本大会を見越した選手選考・起用をするのか。さまざまな考え、意見があるなかで、5人の識者にメンバーと戦い方を聞いた。

【新戦力をどれだけ組み入れられるか】

後藤健生(サッカージャーナリスト)


FW/細谷真大

 
MF/三笘薫、南野拓実、久保建英 
MF/田中碧、遠藤航(藤田譲瑠チマ) 
DF/冨安健洋、町田浩樹(高井幸大)、板倉滉、菅原由勢 
GK/鈴木彩艶

 カタールW杯後、森保一監督の契約を延長して「継続性」を重視する日本代表。そこに「新戦力」をどれだけ組み入れられるか......。最終予選ではそれが最重要テーマとなる。パリ五輪メンバーから交代メンバーを含めて3人の名前を入れた。

 細谷真大はパリ五輪でひと皮むけたプレーを見せた。屈強なDFを背負ってボールをキープし、強引にドリブル突破を図り、そしてスペイン戦ではターンから見事な(幻の)ゴールを決めた。待望久しい「9番」タイプの出現だ。まさに今が「旬」。A代表でも使い込むべき時期ではないだろうか。

 藤田譲瑠チマと高井幸大はともにスケール感の大きな選手で、日本代表の将来を背負って立つ人材だ。今からメンバー入りさせ、最終予選でも出場機会を与え、次第に出場時間を増やしていくべきだ。

「スケール感」という意味ではセリエAデビューを果たしたGKの鈴木彩艶も同じ。彼がその潜在能力を発揮できるようになれば、従来、日本の弱点だったGKは、これからは日本のストロングポイントとなるはず。ロングキックやスローイングは攻撃の武器にもなる。

 サイドバック(SB)は人材不足だが、センターバック(CB)が充実すればアーセナルでSBをこなしている冨安健洋を起用できる。

 最終予選の個々の試合については、コンディション面を重視すべき。たとえば、中国戦。遠藤航や久保建英は9月1日(日)の夜に試合があるので、帰国が3日(火)になる。疲労を考えて彼らは温存すべきだ。

 2列目などは人材豊富で各ポジションにふたり以上いるので、ローテーションは難しくない。

【現実路線のベスト布陣】

原山裕平(サッカーライター)


FW/三笘薫、上田綺世(浅野拓磨)、伊東純也

 
MF/鎌田大地、久保建英 
MF/遠藤航(藤田譲瑠チマ) 
DF/伊藤洋輝(中山雄太)、冨安健洋(町田浩樹)、板倉滉、菅原由勢 
GK/大迫敬介

 門戸は少しは開いているだろうが、森保一監督の頭の中ではおおむねメンバーは定まっていると思われる。今回、2名が加わったパリ五輪世代の選手たちにとっても、なかなか付け入る隙はないはずだ。したがって願望よりも、今回発表されたメンバーを軸に現実路線で最終予選でのベスト布陣を考えてみた。

 まずシステムは、前回の最終予選でもそうだったように、4-3-3が適していると判断した。アジアの守備的な相手には、より攻撃的な布陣のほうが機能するだろう。

 いまだ決め手を欠くGKには、大迫敬介を推す。好調を維持するサンフレッチェ広島で調子を上げており、自信も漲っている。最終予選では彼を軸に戦い、不動の存在へと成長を促したい。

 最終ラインはほぼ鉄板だろう。今回はケガで選外となった伊藤洋輝と冨安健洋が復帰すれば、この4バックがベストになる。

 多士済々の中盤には唯一、希望を入れた。パリ五輪でも躍動した藤田譲瑠チマが遠藤航にどこまで迫れるか。今回は呼ばれていないものの、予選のなかでチャンスを与えたいところだ。

 アジアカップ以来の復帰となった両ウイングは、日本の最大の強みとなる。両者が予選を通じてコンディションを保つことが、何より望まれるところだ。

 懸案のセンターフォワードには数字を出している上田綺世を置いたが、浅野拓磨の勝負強さも捨てがたい。もっとも、小川航基も含めて決め手を欠くなか、新たなタレントの台頭も望めない。だとすれば、クラブで好調を維持し、狭い局面で違いを生み出せる南野拓実を置く手もあるかもしれない。

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