木三原さくら「恋して競輪ハンター」163 Hunting真夏の祭典オールスター競輪が8月13日から平塚競輪場で開催されました。前半3日間は女子オールスター競輪が行われ、パリ五輪に出場していた佐藤水菜選手が圧倒的な力を見せて完全優勝を決めまし…

木三原さくら「恋して競輪ハンター」163 Hunting

真夏の祭典オールスター競輪が8月13日から平塚競輪場で開催されました。前半3日間は女子オールスター競輪が行われ、パリ五輪に出場していた佐藤水菜選手が圧倒的な力を見せて完全優勝を決めました。
パリ五輪とオールスター競輪の開催日程を見たときに、本当に走ることが可能なのだろうかと思ったのが最初の感想です。公務の場合は前検不在が特別に許可されるというのも初めて知りましたし、何より日本代表として人生を賭けて挑む五輪の想像を超える心身の疲労とストレス、パリとの時差や移動のことを考えると、もし五輪から帰ってきて、ガールズケイリンで負けるなんてことがあったら……と始まる前はアレコレと老婆心を働かせていました。



ガールズ予選2を快勝する1・佐藤水菜選手

そんなことが全く無駄な心配だったことは、みなさんご存じの通り。初日のガールズドリームからしっかりと強い走りで1着。笑顔で表彰式に現れ、そして2日目は驚異のタイムで後ろをちぎっての1着。
「どうしたら勝てるのか」と決勝戦に勝ち上がった他の選手たちのインタビューでは、最後の大一番を前にすでに困惑の表情も見受けられました。

そして、決勝戦でも残り1周手前から仕掛けた佐藤選手はマークしていた日野未来選手を引き離し、また後ろ追いかけた同じオリンピアン太田りゆ選手をも寄せ付けず、女子オールスター競輪を見事に完全優勝。優勝インタビューでは少し目を潤ませる場面もありましたが、最高のサトミナスマイルを見せてくれました。


ここからは、あえて『みなちゃん』と呼ばせてください。
実は、開催後に会う機会があり、直接、おめでとうとお疲れ様と伝えることができました。114期でデビューし、みいこと日野選手の同期で妹のようだったみなちゃんがナショナルチームに所属した後、遠い存在になっちゃったなあと感じたことがありました。過去に取材した際も、レースのことを聞けば、一瞬にして表情は変わります。世界と戦うからには日本で負けてはいけないという、そういった覚悟と責任感、そして過酷なトレーニングに裏付けられた自信に圧倒され、私の言葉は敬語になり、そして、その覇気を受けて、気軽にはみなちゃんと呼べなくなりました。

でも、みなちゃんは、やっぱりみなちゃんでした。
久しぶりに顔を見て、思わずハグした彼女は、私より華奢に思えて、どこにあのパワーが潜んでいるのだろうと不思議なくらいで、話せば昔と変わらない天真爛漫な笑顔、おしゃべりで負けん気と弱気が表裏一体の相変わらずのみなちゃんでした。
たくさんの重圧や批評を受けながらも世界の舞台で戦いガールズケイリンに帰ってきたみなちゃん。またすぐに「いってらっしゃい」と言わなければならなそうなのが寂しいですが、それでも限られた日程の中、ガールズケイリン、そして自転車競技を走る彼女をあたたかく応援していきたいです。

さて今回、力の違いを見せられた他の選手たちは、これからどう佐藤選手に立ち向かっていくのでしょうか。続けサトミナ、打倒サトミナで、ガールズケイリンがさらに進化していくことを楽しみにしています!

※開催中の写真はパーフェクタナビ編集部撮影

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【恋して競輪ハンター・過去コラム】
162Hunting「私が競輪を買う理由」
161Hunting「競輪はやっぱり初手」
160Hunting「小松島競輪で初のガールズケイリン」
159Hunting「北井選手のG1優勝」
158Hunting「邊見祐太選手に想いを乗せて」
157Hunting「生で見たダービーの景色」
156Hunting「オールガールズクラシックで旅打ち」
155Hunting「締切1分ダッシュ買い」
154Hunting「開花目前!橋本宇宙選手」
153Hunting「車券下手の罪悪感」

【略歴】


木三原さくら(きみはら・さくら)

1989年3月28日生 岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー。
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に競輪を自腹購入しながら学んでいく。
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり。
好きな選手のタイプは徹底先行!
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション。
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている。