JBCFロードシリーズの最高峰であるJプロツアーは、第11戦となる「山陽建設 佐木島ロードレース」を7月27日に開催した。会場は、瀬戸内海に浮かぶ広島県三原市の佐木島だ。人口640人と小さな島だが、JR新幹線三原駅から三原港を経て渡れば、2…

JBCFロードシリーズの最高峰であるJプロツアーは、第11戦となる「山陽建設 佐木島ロードレース」を7月27日に開催した。会場は、瀬戸内海に浮かぶ広島県三原市の佐木島だ。人口640人と小さな島だが、JR新幹線三原駅から三原港を経て渡れば、20分ほどで到着でき「新幹線からもっとも近い島」とも言われる、アクセスのよい島だ。Jプロツアーとしては、この会場を使うレースは初開催となる。

使用するのは、島の外周を走る1周10.5kmのコース。序盤と終盤に40mほどの高低差がある登りが2箇所含まれるが、それ以外はカーブが連続する平坦な海岸線が続く。このレースではこのサーキットを11周する115.5kmの設定で競われる。



島の外周路をコースとして使用、40mほどの高低差がある2箇所の上りが含まれる

Jプロツアーとしては、トラックレースは開かれていたものの、ロードレースの開催は2ヶ月ぶり。個人総合の首位である金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)は赤いリーダージャージ、U23の首位の寺田吉騎(シマノレーシング)が白のリーダージャージを着
て、スタートラインの最前列に並んだ。この日は気温が40度近くまで上がり、酷暑の中でのレースとなった。



2名のリーダーとホストチームであるヴィクトワール広島を最前列にスタートラインに並ぶ

久しぶりに開催されたレースは序盤から動いた。数名の先行をきっかけに後方からの合流が続き、2周目に23名の集団が先行する形となった。この中には、主要チームがメンバーを送り込んでおり、力のあるメンバーが揃っていた。レースはここで落ち着き、両集団の差は4周目には1分以上まで開き、その後さらに拡大した。



序盤のメイン集団からの抜け出しを契機に一気にレースが動いた



主要メンバーの実力のある選手たちを多く含む23名の先頭集団が形成された

次の展開も生まれず、メイン集団を引き上げるチームもないために、ペースが上がらず、先行する集団との差は決定的なものになっていく。折り返しを迎える頃には、もうすでに先頭集団の逃げ切りが確定的となっていた。



早くも逃げ切りがほぼ確実となった先頭集団。選手間には、勝つために、ここからどう展開するか、という模索が始まる

後半に入ると、この比較的大きな先頭集団から、勝利に向けた動きを起こすため、抜け出しを試みる選手たちが増えてきた。
残り4周となる8周目、米谷隆志(ベルマーレレーシングチーム)が単独で飛び出したが、9周目に入る前に吸収される。残り2周に入ると、逃げのスペシャリストである阿部嵩之(ヴェロリアン松山)がアタック。後続との差を一気に30秒以上まで広げて単独先行し、
そのまま最終周回に入った。



阿部嵩之(ヴェロリアン松山)がアタック、独走体制に入る

しかし、この阿部の独走を封じるため、後方から追走の動きが起こった。昨年のJプロツアーチャンピオンである中井唯晶(シマノレーシング)、ヒルクライムでも活躍する佐藤光(チームサイクラーズスネル)、トップスプリンターの小野寺玲(ヴィクトワール広島島)、津留崚(シエルブルー鹿屋)、阿見寺俊哉(弱虫ペダルサイクリングチーム)ら5名が阿部を追って飛び出した。



阿部を追う追走集団が形成された

5名は協調して全力で逃げる阿部を追い、ついにラスト半周ほどのところで阿部を捕らえた。さらに石原悠希(シマノレーシング)、阿曽圭佑(スパークルおおいたレーシングチーム)の2名が合流し、そのまま先頭に残った阿部を交え、計8名での勝負にもつれこむ。



阿部を捕らえ、さらに追走が合流し8名の集団に。ここでも積極的に走った阿部は敢闘賞を獲得した

残り3km付近から始まる最後の登り区間を経て、ホームストレートに単独で姿を表したのは、中井だった。
中井は後続に早くも10秒もの差をつけており、勝利を確信し、ゆったりとフィニッシュラインに向かう。両手を上げてフィニッシュを越え、今シーズン初勝利を挙げた。2位争いのスプリントは石原が先頭を取り、シマノレーシングが1-2フィニッシュを達成した。



悠々と単独でフィニッシュラインを越え、今季初勝利を上げた中井唯晶(シマノレーシング)

3位には地元広島のチームで走る小野寺が入り、表彰台を確保した。



表彰台に立つ優勝した中井、2位の石原悠希(シマノレーシング)、3位の小野寺玲(ヴィクトワール広島)

中井は「前半は暑さとの勝負だった」と、この日のレースを振り返った。暑さとバテとを考慮しながら、作戦を立てて走ったと言う。本当は個人総合で上位にいる石原選手を勝たせたかったが、アタックのタイミングから、自分自身で勝ちに行くことになったそうだ
。「石原選手と1-2(フィニッシュ)を決められて、チームとして最高の形かなと思います」と、にこやかに喜びを語っていた。
個人総合の上位に入れ替えはなく、総合の首位を金子が、U23の首位を寺田が守っている。



個人総合首位を守った金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)とU23首位の寺田吉騎(シマノレーシング)

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【結果】
山陽建設 佐木島ロードレース結果(115.5km)

1位/中井唯晶(シマノレーシング)2時間40分17秒
2位/石原悠希(シマノレーシング)+10秒
3位/小野寺玲(ヴィクトワール広島)+10秒
4位/阿見寺俊哉(弱虫ペダルサイクリングチーム)+10秒
5位/阿曽圭佑(スパークルおおいたレーシングチーム)+10秒
6位/津留 崚(シエルブルー鹿屋)+10秒

【Jプロツアーリーダー】
金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)

【U23リーダー】
寺田吉騎(シマノレーシング)

【山陽建設周回賞(3周完了時)】
宇賀隆貴(さいたま佐渡サンブレイブ)

【阪井養魚場周回賞(6周完了時)】
柴田雅之(ヴィクトワール広島)

【広島トヨタ周回賞(9周回完了時)】
阿部嵩之(ヴェロリアン松山)

【敢闘賞】
阿部嵩之(ヴェロリアン松山)

写真:JBCF 一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟

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