無念の失格でパリ五輪でのメダル獲得を逃したビネシュ。(C)Getty Images まさかの失格処分を受け、国内での支持は広まっている。パリ五輪女子レスリングフリースタイル50キロ級のビネシュ・フォガトに対するそれだ。 大会初戦で日…

無念の失格でパリ五輪でのメダル獲得を逃したビネシュ。(C)Getty Images

 まさかの失格処分を受け、国内での支持は広まっている。パリ五輪女子レスリングフリースタイル50キロ級のビネシュ・フォガトに対するそれだ。

 大会初戦で日本の絶対女王だった須崎優衣に勝利するなど、印象的な勝ち上がりを見せていたビネシュ。だが、決勝当日にまさかの計量失敗。約100グラムの体重超過が判明し、表彰台に上がることすら許されなかった。

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 水抜きはもちろん、散髪や採血も実行する壮絶な減量に励んだが、100グラムだけ落とせなかった。そんな大会後にビネシュ側は同処分を不服とし、銀メダル授与を求めてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴。しかし、現地時間8月14日に「リミットを超えないようにするのは、明らかに選手自身の責任」と棄却された。

 そんな「悲劇のヒロイン」をインド国内では支持する声が噴出。インド経済紙『The Economic Times』は「五輪のメダルを獲得するという夢がわずか100グラムの体重超過で打ち砕かれてしまった数日後、少なくとも15のブランドがビネシュ・フォガトとの契約を求め、列をなしている」と報道。ビネシュのブランドイメージは急上昇中しているという。

 インド経済界の事情通に話を聞いたという同紙は、インド国内ではアスリートに対して「パッケージ食品、健康、栄養、宝飾品、銀行、教育など、幅広いカテゴリーでブランドの顔にしようとする動きが活発だ」と報道。その上でビネシュの価値がパリ五輪後に「1件につき年間の契約金が250万ルピー(約433万円)から1000万ルピー(約1733万円)に跳ね上がった」と伝えている。

 同紙の取材に応じたビネシュのマネージャーを務めるトゥヒン・ミシュラ氏は、市場価値が高まる現状を、こう説いている。

「マーケッターたちは、彼女(ビネシュ)のパフォーマンスだけを見ているわけじゃない。失格となって敗れたにもかかわらず、自分自身を貫いた潔さを引き合いに出して、私たちに近づいてきている」

 空前絶後のビネシュブームが起きているインド。無念の失格でメダルは手にできなかった29歳だが、過酷な減量に励んだ姿は、国民の胸を打ったようである。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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