シナーはまもなく開幕する全米オープンにも出場予定(C)Getty Images 男子テニスで世界ランク1位のヤニック・シ…

シナーはまもなく開幕する全米オープンにも出場予定(C)Getty Images

 男子テニスで世界ランク1位のヤニック・シナーについてテニスの不正監視団体ITIAは8月20日、今シーズン中の薬物検査で2度禁止物質に陽性反応を示していたが、無実の裁定が下ったと発表した。

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 ITIAの発表によると、今年3月のBNPパリバ・オープンで実施された2度の検査で使用が禁止されている薬物のクロステボルがシナーから低濃度で検出されたという。

 クロステボルは世界反ドーピング機関(WADA)が常時禁止しているたんぱく同化薬で、8日後に行われた大会外検査でも微量の検出が認められたため、陽性となった。
 
 また本来は禁止薬物が検出された時点で暫定的に出場停止処分となるものの、選手には異議申し立てにより出場停止処分を解除する権利があることで、シナーはこの申し立てを行い認められたため、これまで試合に出場できたという経緯も明らかになった。

 その後、シナーとチームのサポートメンバーが全面的に調査に協力。調査の結果、シナーのサポートメンバーがクロステボルが含まれる市販のスプレーを自身に使用した後に、シナーをマッサージしたことで意図せずして皮膚からシナーの体内に禁止薬物が取り込まれたことが認められた。

 ITIAは検査結果を受けて「ヤニック・シナーに責任もしくは過失はなかったと裁定した」と発表した。

 一方、発表におさまらない態度を示したのは、日頃戦うほかの選手たちだった。

 オーストラリア出身のテニスプレイヤー、ニック・キリオスは 今回の件について自身のXを更新。「ばかげている」「それが偶然であったか、計画的であったかにかかわらず」としながら、禁止物質が2度見つかったことを問題視。「物質が2回見つかったなら、2年追放にすべきだ」と持論をのべた。

 ほかにも今回のITIAの発表に対しては3月の調査開始からここまでなぜ1度も発表がなかったのかという経緯などをめぐり、疑問の声も上がっている。

 シナーは男子テニスのシンシナティ・オープンで今季5度目のタイトルを獲得、今月26日に開幕する全米オープンにも出場予定とされる。ドーピング問題で注目を集めたことで今後も波紋は広がりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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