試合を局所的に切り取ればさほど実力差があるように映らない対戦も、大差で終わることがある。

 その背景は何か。

 過去4回優勝のパナソニックで主将経験のあるHO堀江翔太は、同5回の東芝を37点差で下して言う。

「数分いいプレーをしても勝てない。80分通していかにいい判断をするか…そこの積み重ねの差、じゃないですか」

 縦への推進力を誇る東芝は、ゴングが鳴るや鋭い出足の防御を繰り出す。パナソニックのハンドリングエラー、キックミスを誘う。

 敵陣で好機を得れば、攻める方向へ次々と走者が回り込む。壁を押し込む。前半12分の先制ペナルティゴールはその延長で決まり、続く17分にはスクラムからの展開からWTB石井魅が左タッチライン際を駆ける。10-0と主導権を握る。

 もっとも、ベンチスタートのFL布巻峻介主将は冷静だった。

「プレッシャーにびっくりしていなかった。こっちも1歩でも前に出る気持ちを出していた」

 24分、敵陣22メートルエリアの左側でFW陣が衝突を重ねる。そして、新人のCTB松田力也が右側のスペースでパスを呼び込む。追撃のトライを挙げ、5点差に迫る。

 35分には、敵陣中盤右を攻めたところで逆側のWTB福岡堅樹が声を張る。するとパナソニックの攻撃網は、東芝の飛び出すタックラーを前にやや余裕を持ってパスをつなぐ。

 すると左後方にあった無人の空間で、WTB福岡が22メートル線近くまで直進。ここから鋭いランと多彩なパスが続き、左中間でLOヒーナン ダニエルが止めを刺す。ゴール成功もあり、2点リードを奪う。

 飛び出す防御の背後を縫うように大きく展開し、タッチライン際をえぐる…。リフレインされた得点シーンを、WTB福岡とCTB松田がそれぞれこう振り返った。

「相手が内側に、内側にプレッシャーをかけていた。そこで一人ひとりが(正しく)判断できるのは強み」

「外にスペースがあるのはやっていてわかった。そこにボールを運べた時はいいアタックができた」

 ハーフタイム後はより加速する。

 瀬川智広監督が「外の(間合いを)詰め切れないなら流す(飛び出しを自重)」と防御を修正した東芝に、パナソニックのPR稲垣啓太は「前半は入りが悪かった分、後半の入りをよく」。最初のキックオフを確保し、間もなく加点する。

 続く後半7分には、ハーフ線付近右のラインアウトからSOベリック・バーンズの左大外へのキックパス、それを受けたWTB福岡の中央への突撃、その右にできたスペースの攻略などを経て、得点板を「10-27」と光らせる。ここで東芝の今季2敗目が現実味を帯びてきたか。

 敗者は点差がついてからも、いくつかの肉弾戦で強さと粘りを誇示。とはいえこの日に軍配が上がったのは、「判断」の「積み重ね」を尊しとするパナソニックだった。

 前年度は序盤につまずいたが、今季は潤沢な戦力を擁して開幕3連勝。ロビー・ディーンズ監督は「去年の痛みから得た経験が貢献し、層が厚くなっている」とし、会場を去った。(文:向 風見也)