横浜F・マリノスのFWアンデルソン・ロペスがPKを決めて、両チームともにスコアレスの均衡が崩れる58分までに、前編で記…
横浜F・マリノスのFWアンデルソン・ロペスがPKを決めて、両チームともにスコアレスの均衡が崩れる58分までに、前編で記した32分のFW家長昭博のシュートを含めて、川崎フロンターレは実に9度の決定機を迎えていた。
ホームのUvanceとどろきスタジアムで、17日に行われた神奈川ダービー。スタンドを沸かせた場面には、前節まで3試合連続でマルチゴールを決めていたFW山田新の強烈なヘディングが、クロスバーを叩いた49分も含まれている。
「本当にゴールが決まらなかっただけで、チャンスは五分五分か、あるいは僕たちの方が多かったと思うし、攻撃に関しては正直、それほど悪くなかった」
最終的には1-3で敗れ、連勝が3で止まったマリノス戦を前向きに振り返った右サイドバックのファンウェルメスケルケン際は、さらにこう続けた。
「チャンスは作れていたのでそこは悲観せずに、それでも点が入らなかったのは紙一重の部分なのでそこは突き詰めながら、頭を下げずに進んでいきたい」
■「ゲームを読める選手ですし、試合をコントロールする力もある」
攻撃の質が上がった時期とリンクしているのが、ボランチの大島僚太の先発復帰といっていい。先述の山田の惜しいシュートも、大島がパスを中央から右へ散らし、フリーだった家長が右足であげたクロスに頭を合わせたものだった。
その家長は「イニエスタとプレーするよりも、(大島)僚太くんとプレーする方が楽しい」と語った件が、いまだにファン・サポーターの間で語り草になっている。
「あれは真剣に言ったものじゃなくて、ヴィッセル神戸から(車屋)紳太郎にオファーがきたときに、冗談で言っていただけなんですけど」
マリノス戦後に苦笑した家長は、復帰した大島が与える変化をこう語る。
「ゲーム(の流れ)を読める選手ですし、ある程度、試合をコントロールしてくれる力もあるので、それは本当に助かっています」
マリノス戦を含めて、大島が先発した直近の3試合は橘田健人とダブルボランチを形成している。稀代のパサーの大島と、ボール奪取力を含めた守備と運動量に長ける橘田。理想的ともいえるコンビを組ながら、橘田はこんな思いを抱いている。
「準備の早さやポジショニングなど、(次のプレーに対して)見ている部分はすごく勉強になるし、少しでも学んでいかなきゃいけない。一緒にプレーするほど自分の判断力や技術の低さを感じているので、そこをもっともっと上げていきたい」
■「シュートで終わるべきところ」
大島本人は、ホームで敗れたマリノス戦にどのような思いを抱いているのか。ゴールすべきところで取れなかったのがすべてと、試合後にこう語っている。
「シュートで終わるべきところは、ほとんどシュートで終わっているので、あとは本当にゴールを決めるか決めないかのやり合いだなと。そんな感じですね」
連勝は止まったが、大島が放つ存在感を触媒とする川崎のなかの化学変化はまだ始まったばかり。ポジティブな波は敵地・埼玉スタジアムに乗り込む24日の浦和レッズとの次節、そしてYBCルヴァンカップのプライムラウンド、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)エリートのリーグステージが始まる9月以降へ伝播していく。
(取材・文/藤江直人)