金メダルを手にして笑顔を浮かべるテボゴ。(C)Getty Images 五輪で最高の結果を出した“英雄”をいかに称えるか――。人口240万人の小国で、この対応を巡り、波紋が広がっている。 問題となっているのは、パリ五輪の陸上男子200メート…
金メダルを手にして笑顔を浮かべるテボゴ。(C)Getty Images
五輪で最高の結果を出した“英雄”をいかに称えるか――。人口240万人の小国で、この対応を巡り、波紋が広がっている。
問題となっているのは、パリ五輪の陸上男子200メートルで金メダルを手にしたレツィレ・テボゴに対するボツワナ政府の動静だ。
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ボツワナに史上初の金メダルをもたらしたテボゴは、男子4×400メートルリレーでも銀メダルを獲得し、瞬く間に“時の人”に。当然、母国内では反響は拡大し、政府は彼が金メダルを獲得した8月8日と翌日は「祝日」にすると決定。凱旋帰国時には大勢の国民が空港で英雄を出迎えた。
さらに“テボゴブーム”にあやかろうとする政府は、本人をはじめとするメダルを獲得した選手たちに向けた金銭の提供を国民に要求。「ボツワナを代表した彼らの目覚ましい活躍に報いることを目的とした財政貢献を求めたい』と基金の創設を発表した。
この前代未聞の決定に国民からは反発が相次いだという。英公共放送『BBC』は国民の所得が低く、失業率も高いボツワナでは「なぜ、すでに支払っている税金がオリンピック選手に報いるために使われないのかと疑問を抱く人たちがいる」と報道。さらに国内各地で行われる予定だった祝賀イベントの中止も相次いでいるという。
さらにフランスのラジオ局『RMC Sport』は、ボツワナに住んでいるというユーザーによる「もう税金は払っている」「明日の食べ物だってない人間もいる」「政府の財布から金を出せばいい」というFacebook上のコメントを紹介。その上で「祝賀ムードは素晴らしいものだったが、政府の要求で全て台無しになった。ボツワナは小国で国民の生活環境は最適とは言えない。失業率も高い」と指摘し、「歓迎されない要求だ」と断じた。
数万人の国民からハレーションを招いた今回の騒動。当人の複雑であろう心境を思えば、後味の悪さは否めない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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