パリ五輪で導入されたブレイキン。その場で堂々とパフォーマンスしたガンだったが、批判は相次いでいる。(C)Getty Images パリ五輪で新競技として採用された「ブレイキン」。新時代のスポーツとして期待を集めた同競技だったが、あら…

パリ五輪で導入されたブレイキン。その場で堂々とパフォーマンスしたガンだったが、批判は相次いでいる。(C)Getty Images

 パリ五輪で新競技として採用された「ブレイキン」。新時代のスポーツとして期待を集めた同競技だったが、あらぬ方向に余波を広げ続けている。キッカケとなったのは、女子豪州代表として出場したレイチェル・ガン(ダンサー名:Raygun)のパフォーマンスだ。

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 競技で着用した衣装が「クロネコヤマト」の制服と似ていることから日本では、のほほんとした話題になったガン。しかし、彼女の披露した身体をクネクネとさせる独創的なダンスは、海外で嘲笑の的に。

 試合後に本人は「芸術的で、創造的でありたい」と踊りの意図を説明したが、全3試合で0点という散々な結果もあり、母国内でも批判の声は噴出。代表選出に問題があったのではないかと疑問視する人々が5万人を超える署名が入った請願書を政府に提出する異例の事態ともなった。

 豪オリンピック委員会がガンへの誹謗中傷をやめるよう訴える中、ブレイキン界のレジェンドは、業界発展のために厳しい意見をぶつける。ニューヨークを拠点に活躍を続けるリチャード・コロン氏(ダンサー名:Crazy Legs)だ。

 ブレイキンのパイオニアとしても名高いコロン氏は、米紙『New York Post』で「なんでこんなことが起きたのか。世界ダンススポーツ連盟の調査があるべきだ」と断言。そして「五輪に出場するには一定の専門的レベルが求められるべきだ」と“酔っぱらいのよう”とも酷評されたガンが出場できた経緯に疑問を呈した。

 さらにコロン氏は、「そもそもブレイキンっていうのは、困難な生活をしてきた人々の文化から生まれたものだ。だから、あんなパフォーマンスを見ると、俺たちは『え、マジかよ。冗談だろ?』って感じるんだ」と率直な感想を吐露。そして、ガンのダンスを“場違い”な演技だと糾弾した。

「彼女にとってブレイキンは趣味なのかもしれない。それはそれでいい。自分のやりたいことをして、楽しんでくれたらいいよ。でも、彼女は間違ったステージに立ってしまった。ただ五輪という舞台に行って、文化全体を崩壊させてはいけない。車を運転するのもそうだろ? エキスパートである必要はないが、他の人を傷つけない程度にはうまくなければならないとね」

 やはり選考基準に苦言を呈したレジェンドは、「彼女が辞退していればよかったのにとも思うね。明らかに他の誰かからチャンスを奪っていた。あの衣装のことは些細なことさ、そもそも彼女には才能がなかったんだ」とキッパリ。五輪という国際的な注目集める場で精彩を欠いたガンに苦言を呈し続けた。

 ブレイキン界でも賛否両論を招いている今回の騒動は、まだまだ収まりそうにない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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