8日からのウィンダム選手権で米ツアーのレギュラーシリーズが終了し、15日からプレーオフシリーズ初戦となるフェデックス・セントジュード選手権がテネシー州のTPCサウスウィンドで開催される。今季現時点のフェデックスカップランクが8位の松山英樹も…

8日からのウィンダム選手権で米ツアーのレギュラーシリーズが終了し、15日からプレーオフシリーズ初戦となるフェデックス・セントジュード選手権がテネシー州のTPCサウスウィンドで開催される。

今季現時点のフェデックスカップランクが8位の松山英樹も出場。

松山は、1日から開催されたパリ五輪では金メダル争いを繰り広げ、日本男子ゴルフ初の銅メダルを獲得。ゴルフ界の歴史にまた一つ名を刻んだが、勢いそのままに、今季の年間王者を決めるツアー選手権まで突っ走って行ってもらいたい。

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■昨季、棄権で途切れたツアー選手権連続出場

松山は昨季、ランク70位までに与えられるフェデックス・セントジュード選手権の出場権をランク57位で獲得し出場した。

16位タイに入り、ランク47位に上昇。ランク50位以内に与えられる、プレーオフシリーズ2戦目のBMW選手権出場権をギリギリで獲得した。

そこで好成績をおさめ、ランクを30位以内に上げることができれば、10年連続でツアー選手権出場という偉業を達成できたわけだが、結果は第2ラウンドスタート前に棄権。

第1ラウンドを30位タイで終えていながら棄権となった理由は背中痛だ。

無理をすれば、ツアー選手権出場権を獲得できる成績を出せたかもしれない。今後の選手生活のことを考えての決断だった。

また、2022年シーズンも、プレーオフシリーズをフルに戦うことができなかった。フェデックス・セントジュード選手権は、首痛により第1ラウンドをスタートすることなく欠場。翌週のプレーオフ2戦目、BMW選手権は出場したものの、松山らしいプレーは影を潜め、35位タイだった。

このように2年続けて不完全燃焼で終えているだけに、今季のプレーオフにかける思いは強いのではないだろうか。

松山英樹、過去2シーズンのプレーオフシリーズ成績

(※)ツアー選手権は、プレーオフシリーズ2戦目となるBMW選手権までのフェデックスカップランクが30位までの選手が出場できる。ランク1位の選手が-10から、2位が-8から、3位が-7から、4位が-6から、26位から30位が±0から、というように、ランクに応じてハンディが設定され、大会勝者が年間王者となる。松山は2022年、BMW選手権後のランクが17位となり、-2からのスタートだった。

 

■ショートアプローチが冴えるか

今季の松山のショートアプローチは圧倒的。現時点のSG:アラウンドザグリーンは0.819で2位以下を大きく離しての1位だ(2位:デイビス・トンプソンの0.486)。

パリ五輪では、SG:アラウンドザグリーンが16位で、松山にしてはショートアプローチが冴えなかったようだが、流れを取り戻すチップインがあるなど、随所に今季の松山を象徴するような精度高いアプローチショットを見せていた。

フェデックス・セントジュード選手権でも、レギュラーシリーズで見せたアプローチショットを見せられれば、上位に顔を出してくるのではないだろうか。

しかも、TPCサウスウィンドは松山にとって相性が良いコース。昨季のフェデックス・セントジュード選手権で、BMW選手権の出場権獲得のプレッシャーがかかる中、及第点のプレーを見せただけでなく、2021年の東京五輪の翌週に同コースで開催された世界ゴルフ選手権で、プレーオフに進み2位タイに入った。

五輪からのTPCサウスウィンド。同じようなスケジュールとなった3年前を思い起こさせるプレーを期待して良いだろう。

■リスタート

パリ五輪で銅メダルを獲得後、ロス五輪へ出場する意欲を示した松山は、「そのためには4年後出れる位置にいないと」とも語った。これは、日本代表入りできる世界ランクでなければ、という意味。

松山はパリ五輪の練習ラウンドで、中島啓太とプレー。まだ荒削りではあるものの、飛距離や球の高さなど、中島の1ショット1ショットの質に可能性を感じたようだ。

ウィンダム選手権では久常涼が米ツアー最高位となる3位タイでフィニッシュし、来季シード権を獲得した。

現時点での世界ランキングは、松山が12位、久常が77位、中島が98位と、立ち位置には大きく差がある。だが、若手が成長してきている中で、日本勢のトップであり続けるためには、気持ちを新たに4年後を見据える必要がありそうだ。

フェデックス・セントジュード選手権では「ロス五輪も1枠は松山か」と感嘆の息がもれるプレーを見せてもらいたい。

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著者プロフィール

野洲明●ゴルフ活動家

各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。