2023年夏、25節終了時点のベガルタ仙台は勝ち点32の13位に沈んでいた。そのタイミングで伊藤彰監督(現・J3金沢)…
2023年夏、25節終了時点のベガルタ仙台は勝ち点32の13位に沈んでいた。そのタイミングで伊藤彰監督(現・J3金沢)が解任され、堀孝史コーチが昇格したが、流れが変わることなく16位でフィニッシュ。多くの熱狂的サポーターが落胆した。
あれから1年が経過し、今季の仙台は同じ25節終了時点で勝ち点38の6位と順位を上げている。多くの人が「V字回復した」と前向きな見方をしているが、指揮を執る森山佳郎監督は「自分は昨年、内部にいなかったんで、どう変化したのかは何とも言えない部分があります」と語る。
それでも「僕自身は本当に成長したい、チームをよくしたいという意欲は強く持っている。それを選手にストレートに示しています。選手たちも相当悔しい思いをしているし、『変わらないとダメなんだ』と目の色を変えている。それはひしひしと感じます」と語気を強める。
情熱的な森山監督の意見をベースに決めた今季の仙台のスローガンは「PASSION 限界を超えろ」。それを掲げて厳しい戦いに挑んでいるのだ。
■年齢に関係なく高め合う姿
「自分はミーティングでも勝利への意欲を押し出しているんですが、ヤス(遠藤康)なんかは『ゴリさん、話が長いです』と少し斜め目線で言ってきます(苦笑)。そういう冷静なスタンスを持つベテラン選手がいることも大事ですね。
逆に林(彰洋)なんかはミーティングの時に一番前に来て、僕の話を聞きながら頷いています。目の輝きを見るとこっちもモチベーションが高まります。いろんな選手のパッションがあって、変化のスピードも一気に加速したと感じます」
練習を見ていても、選手たちは緊張感をもって、時に厳しく要求しあっているという。今の若い世代はお互いの主張をぶつけ合うことは少なくなったと言われるが、仙台はベテラン、中堅、若手が年齢に関係なく高め合おうとしているようだ。
「僕は長く育成に携わってきたので、16~17歳の変化のスピードの速さを間近で見てきました。10代の若手に比べると大人の選手はなかなか変わらないものですが、今の仙台のメンバーは少しずつ変わっていると思います。
1つできたと思っても、またすぐできなくなることがよくありますけど、そういう課題に対して繰り返し取り組む姿勢も顕著になっている。個々の向上心、1つの大きな目標を達成したいという思いは育成年代と何ら変わりませんし、ホントに素晴らしいなと感じる。僕自身も8カ月、ここで仕事をして、大きな手ごたえを感じています」
森山監督が言うように、チームにいる全員がお互いの特徴を認め、伸ばそうと切磋琢磨しあう集団というのは確実に強くなる。今の仙台にはそういった雰囲気が感じられる。ただ、それを本当にJ1昇格につなげられるかどうかはここからの戦い次第。特に過酷な夏場をどう制するか。そこが大きなポイントになるだろう。
【もりやま・よしろう】
1967年11月9日生まれ、熊本県出身。現役時代はサンフレッチェ広島などでプレーし、サッカー日本代表としてもキャップ数を重ねる。引退後は指導者の道を歩み、サンフレッチェ広島ユースでコーチと監督を歴任。その後、日本サッカー協会で育成年代の監督を務め、U―17日本代表監督としてFIFA U―17ワールドカップに出場した。今季からベガルタ仙台の監督を務める。
※記事内のデータはすべて8月9日執筆時点
(取材・文/元川悦子)
(この記事の続きへ)