今夏に「悲劇のヒロイン」となったビネシュ。その騒動は余波を広げている。(C)Getty Images 現地時間8月11日に行われた閉会式によって終幕を迎えたパリ五輪。真夏の“花の都”での17日間は、悲喜こもごも、さまざまなドラマが生…
今夏に「悲劇のヒロイン」となったビネシュ。その騒動は余波を広げている。(C)Getty Images
現地時間8月11日に行われた閉会式によって終幕を迎えたパリ五輪。真夏の“花の都”での17日間は、悲喜こもごも、さまざまなドラマが生まれた。その中で小さくない衝撃を生んだのが、女子レスリングの失格劇だ。
【画像】ドラマ相次ぐパリ五輪の「悲喜こもごも」を厳選フォトでチェック!
去る8月7日(現地時間)、パリ五輪・レスリング女子フリースタイル50キロ級で決勝に進出しながら体重超過が判明したビネシュ・フォガト(インド)のそれだ。
1回戦で金メダル候補でもあった須崎優衣を破る大金星をあげたビネシュは、その後も快進撃を続け、決勝まで進出。サラ・ヒルダーブラント(米国)とのファイナルを待つのみだった。しかし、試合当日の早朝に実施された公式計量で、わずか100グラムの体重超過で失格。その後、前日の晩に2キロの超過していたこと、さらに髪を切り、サウナに入り、採血まで行なう壮絶な減量に取り組んでいた事実も判明した。
脱水症状に陥るまでに立った減量も報われず、本人のショックは計り知れない。すでにXを通じて「もうこれ以上の力はありません」とリオ五輪から3大会連続出場を果たすなど、懸命に取り組んできたレスリングからの引退も表明した。
そうした中で陣営は計量に問題があったのではないかと主張。国際オリンピック連盟と、同競技の統括団体であった世界レスリング連合を控訴。スポーツ仲裁裁判所(CAS)を通じて、失格処分の撤回と銀メダル以上の付与を求めている。
失意のビネシュ本人はいまだ公の場で発言をしていないものの、すでに彼女の弁護人は主張を展開。今回の超過が「今回の超過数がアスリート体重の0.1~0.2%程度と極めて微々たるもの」と断言。その上で問題が、1日3試合という過密日程と運営にあったのではないかと異論を唱えた。
「100グラムの超過は夏場に人体が膨張することを考えれば簡単に起こり得る。それは生存のために人体がより多くの水分を保持するようにするからだ。すでに科学的に証明されている。また、1日に3回試合も行ったため、筋肉量が増加したためとも考えられる。それほど過酷な競技のために健康を維持しなければならず、競技終了直後に食事を摂取しなければならなかったことも原因となった可能性がある」
いずれも他選手がルールを順守し、超過ミスを犯していない以上、厳しい主張という感は否めない。果たして、こうした主張を受けてCASはいかなる判断を下すのか。いずれにしても、ビネシュの失格騒動はしばらく余波が続きそうな情勢である。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
【関連記事】波紋を呼んだ100グラムの体重超過 インド女子選手の失格への“陰謀論”を叔父は断固否定「スポーツに政治を持ち込むな」【パリ五輪】
【関連記事】血抜きまで行った壮絶さ インドレスリング選手の“当日失格”で陣営に疑問の声「誤差100グラムの過剰な減量」【パリ五輪】
【関連記事】「フェアではありますが…」インド選手の“当日失格”を受けてリオ金・登坂絵莉が解説「減量の多い選手にとっては過酷」【パリ五輪】