「今日こそはという気持ちでみんなピッチに入ったと思います。その魂の中で、自分が決勝ゴールを決められた」 エコパスタジアム…
「今日こそはという気持ちでみんなピッチに入ったと思います。その魂の中で、自分が決勝ゴールを決められた」
エコパスタジアムで行われた伝統の一戦で、鹿島アントラーズから逆転の決勝点を奪ったジュビロ磐田・古川陽介はそう振り返った。前半に鈴木優磨のPKでリードを許した磐田は後半の立ち上がりにハンドの判定がVARの介入で取り消されるなど、難しい流れが続く中で、横内昭展監督は後半20分に古川、ジョルディ・クルークスを左右ウイングに投入して勝負に出た。
後半31分、山田大記を投入した直後に、クルークスのカットインからのクロスに山田が反転しながら左足で決めるファーストタッチゴールで同点に。そして終盤の後半44分、交代出場の西久保駿介による遠投気味のスローインを起点に、ペナルエリア右のポケットに侵入した植村洋斗のクロスから、ゴール前でFWの渡邉りょうが潰れたファーサイドで古川が左足のシュートを突き刺した。
ゴールの外側から侵入した古川には右サイドバックの濃野公人が対応に来ていた。しかし、古川は「一瞬、折り返すとか、ドリブルでまたカットインするか迷ったんですけど、濃野選手が股を閉じるようなのが見えたので、ニア打ち抜けるなと思いました」と振り返る。シュートに行くと決めたら、冷静に来たボールを当てて、コースに打ち抜くことだけを心がけたという。
■「力まず、練習通り」の監督の言葉
「力まず、練習通り」という古川は横内監督からも、迷ったら振り抜けと言われている。またエコパスタジアムは静岡学園で多くのゴールを決めてきた舞台でもあり、高校サッカー選手権の静岡県大会で、このシーンと全く同じシチュエーションで、ゴールを決めた記憶が蘇ってきたという。「まじ一緒の形で。すげえなって(笑)」と感慨深げに語る古川だが、攻撃面の活躍の陰で、守備の貢献も見逃せないものがあった。
古川と対面していたのは右サイドバックながら7得点を記録している濃野だった。前半からPK獲得のシーンでも倒された師岡柊生のすぐ後ろに走り込むなど、何度も危険な攻め上がりを見せていた。「サイドバックであれだけ得点力のある選手はすごい魅力的ですし、いい選手だなというのは多分、誰が見ても分かるので。そこのマークの徹底はチームとして決まっていた」という通り、古川は守備のタスクを意識しながら、逆に濃野が攻め上がった背後のスペースをいかに突くか。「そういうやり合いが面白いポイントだった」と笑顔を見せた。
熱量の高い試合だったが、これまでの4ー2ー3ー1から4ー3ー3に変更して臨む中で、磐田の選手たちは守備のタスクを全うしながら、攻撃で個の特長を組み合わせることで、優勝争いに加わっている鹿島を上回った。その戦いぶりを象徴する古川のパフォーマンスだった。
(取材・文/河治良幸)
(後編へ続く)