ボルダーで森の前に立ちはだかった壁はあまりに困難だった。(C)Getty Images 小柄な日本人クライマーの前に立ちはだかった“壁”は、世界中で生んだ。 物議を醸すキッカケとなったのは、現地時間8月10日に行われたパリ五輪のスポ…

ボルダーで森の前に立ちはだかった壁はあまりに困難だった。(C)Getty Images

 小柄な日本人クライマーの前に立ちはだかった“壁”は、世界中で生んだ。

 物議を醸すキッカケとなったのは、現地時間8月10日に行われたパリ五輪のスポーツクライミング女子複合の決勝だ。4位に食い込んだ日本の森秋彩(もり・あい)は、前半のボルダーで4つの課題のうち完登が1つだけと痛恨のポイントロス。大会側のルート設定に疑問の声が数多く上がった。

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 とりわけ困難だったのは、第1課題だ。森は154センチの小柄な身体をのばし、壁を駆け上ろうとしたが、スタートホールドにさえ手が届かず、幾度となく落下。制限時間中にのぼることができず0点に終わった。

 競技中に本人が首を傾げる場面もあった。そんな明らかに厳しいルート設定に海外からも反発の声は上がり、今も余波を広げている。英紙『The Sun』は「パリは私のクライミング人生で最大の舞台になるから、気楽に楽しんでやろうと思っている」と語った本人の大会前のコメントを紹介。そのうえで「リードでの驚異的な挽回は見事だった。だからこそ、スタートすら切れなかったボルダーは痛恨であり、セッターの技量が責任を問われる事態となっている」と断じた。

 また、同紙は英国内のXで「スタート地点からここまで高く設定されていることは異例」「狂気の沙汰だ」「ルートセッターがモリのパフォーマンスをダメにした」といった辛辣な意見が相次いだことを指摘。日本人クライマーに対する反響を「競技責任者たちはモリをいじめたのだと非難され、何らかの陰謀を企てたとまで言われている」と伝えた。

 競技後半のリードでは全体最高の96.1点をたたき出し、会場を熱狂させる驚異的なパフォーマンスを見せた森。だからこそ、弱冠二十歳の日本人に生じた不利に反発は広まったと言えよう。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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