日本戦で異彩を放った孫穎莎(前列右)。彼女に注目が集まったのは試合中だけではなかった。(C)Getty Images 文字通りの完敗だった。現地時間8月10日、パリ五輪・女子卓球の団体決勝が行なわれ、世界ランキング2位の日本は、同1位の中国…
日本戦で異彩を放った孫穎莎(前列右)。彼女に注目が集まったのは試合中だけではなかった。(C)Getty Images
文字通りの完敗だった。現地時間8月10日、パリ五輪・女子卓球の団体決勝が行なわれ、世界ランキング2位の日本は、同1位の中国と対戦。日本は早田ひな、平野美宇、張本美和が果敢に挑んだが、初戦のダブルスで2-3と惜敗すると、続くシングルス戦も2連敗。手も足も出ないまま、ストレート負けに終わった。
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個人の世界ランク上位3人を揃えた中国女子代表は、これで五輪団体戦を5連覇。日本も成長はたしかに感じさせたが、黄金期にある“大国”の分厚い壁は容易には崩せなかった。
そんな試合にあって小さくない存在感を示したのが、シングルス、ダブルスの2点起用された張本美和だった。
中国との大一番で大抜擢された16歳は、早田ひな(日本生命)とペアを組んだダブルスでは、強烈なバックハンドを中心に中国ペアを翻弄。そして3番手で登場したシングルスでも王曼昱を相手に1ゲームを奪うなど底力を発揮した。
しかし、敗れた悔しさもあり、試合後に張本は涙した。ただ、大舞台でも高いポテンシャルを見せつけた日本の天才少女を、中国の偉才も見逃してはいなかった。世界ランク1位の孫穎莎である。
中国メディア『捜狐体育』が伝えた動画で、敗戦に肩を落とす張本の下に近寄った孫穎莎は、五輪のピンバッチをプレゼント。なにやら話し込むと、二人が笑顔で別れていった。
この試合での張本について「大きな可能性を示したのは間違いない。しかし、涙して悔しさがった16歳にとって、この中国戦が小さくない精神的なダメージとなったのも事実だ」とした『狐探体育』は「勝ち負けを越えた真の交流だ」と孫穎莎をクローズアップ。敗北を噛みしめるライバルをさりげなく慮る気遣いを絶賛した。
「孫穎莎は優しさを見せた。彼女は自ら張本に歩み寄り、そっと手を握った。この行動は単なる慰めではなく、張本の粘り強いパフォーマンスが認められた瞬間でもあった。そして何より、観客の心を温め、トップをひた走る孫穎莎の気高い人格を証明するものだった。張本が笑顔になった瞬間、孫穎莎は試合に勝っただけでなく、ライバルからの尊敬も勝ち取ったのである」
何気ない行動ではあった。しかし、そのちょっとした気遣いに、孫穎莎のトップアスリートたる所以を見た。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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