パリ五輪唯一の新競技「ブレイキン(ブレイクダンス)」が9日午後(日本時間9日午後11時)から始まる。開催国フランスでは約40年前から都市の郊外で暮らす移民系の若者らの人気を得てきた。フランスの発祥地とされるパリ郊外でブレイキンを続けてきた…

 パリ五輪唯一の新競技「ブレイキン(ブレイクダンス)」が9日午後(日本時間9日午後11時)から始まる。開催国フランスでは約40年前から都市の郊外で暮らす移民系の若者らの人気を得てきた。フランスの発祥地とされるパリ郊外でブレイキンを続けてきた人たちは、貧困など問題を抱える地域とみなされる郊外の文化に脚光が当たることを期待している。

 開会式を翌日に控えた7月25日、パリ東部に位置する郊外のバニョレ市で五輪競技への採用を記念したブレイキンの大会が開かれた。1984年に放映された仏民放のダンス番組の司会者で、今も愛好家の間で人気を誇るシドニーさんが進行を担当。市役所前の広場に設けられた特設ステージには市民ら約100人が集まった。

 この日のトップバッターを務めたナデファ・ベルカフラさん(47)は、DJの流す音楽に合わせて手を地面について足を高く掲げたり、全身を回転させたりして、力強い動きを披露。歯科助手の仕事の合間を縫って練習を続けてきた成果を存分に発揮した。

 ブレイキンは1970年代、米ニューヨークの貧困地区の路上で生まれた。縄張り争いをするギャングたちが暴力ではなく、音楽と踊りで勝負したのが起源と言われている。

 ベルカフラさんは18歳の頃、米国の映画を見てブレイキンを知った。北アフリカ系移民の両親からは「女の子がやるものじゃない。それよりも勉強しろ」と言われたが、隠れて踊りを続けた。五輪競技への採用について「数年前は想像もできなかった。ブレイキンを続けてきた人たちの思いが実った」と喜ぶ。