地元チームを後押しするフランスのファン。彼らの熱狂的なスタイルには、一部で反発も起きている。(C)Getty Images  今夏にパリで開催された夏季五輪は、2大会ぶりに有観客となった。ゆえに各会場が大入りとなり、大…

 

地元チームを後押しするフランスのファン。彼らの熱狂的なスタイルには、一部で反発も起きている。(C)Getty Images

 

 今夏にパリで開催された夏季五輪は、2大会ぶりに有観客となった。ゆえに各会場が大入りとなり、大勢のファンがアスリートたちのハイレベルな競争に熱狂している。

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 その中で、とりわけ目立っているのは地元フランスに対する大声援だ。“花の都”で100年ぶりに実施された一大イベントとあって、いかなるシチュエーションにおいても、代表選手たちを後押しする声は絶えない。

 ホームチームにとって必然の声援。それはフランスにとってまさに地の利とも言える。一方で地元ファンの応援が「行き過ぎではないか」という指摘も寄せられている。ドイツの日刊紙『Die Tageszeitung』は、熱狂的なフランス・ファンに向け、「いったいスポーツマンシップはどこにある?」と疑問を投げかけている。

 同紙が問題視したのは、現地8月5日に行なわれた3×3バスケットボールの男女決勝の会場での出来事だ。

 会場では、先に女子決勝のドイツ対スペインが行なわれ、大接戦の末に17-16でドイツが勝利。初の金メダル獲得にドイツ選手団が喜びを分かち合っていた。すると、そこまでまるで試合に興味がないかのように眺めていた観客が、いきなり「アレ・レ・ブルー!」とフランス代表のチャントを熱唱。直後に実施されるフランスとオランダの男子決勝を煽り出したのだ。

 さらに柔道会場でフランスの選手がいない時の異様な静けさにもクローズアップし、「イライラするほど静かだった」と綴った同紙は、「地元の観客は、自国選手団の成功に対する高揚感のあまり、他国の選手の存在を忘れてしまうことが多いようだ」と指摘。こうも論じている。

「フランスのファンは、初めてチャンピオンになったドイツの選手たちを無視するのか?その態度はあからさまで酷いものだった」

「3×3でフランスはオランダに敗れ、自国のチームが、表彰台の中央に立つことができなかった。それでもファンは表彰式でフランス国歌を歌っていた。面白いと思ったのだろう。ただ、それは本当に面白いのか? 高揚感のあまり、スポーツマンシップがどこかに飛んで行ってしまったのではないか」

 おそらくフランスのファンは、“お祭りムード”に押されているのだろう。しかし、あまりに他国への敬意に欠いた行動は、疑問を抱かせるものだった。

 

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

 

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