8月7日に開幕した第106回全国高等学校野球選手権大会。夏の甲子園にはどんなスター候補が登場するのか。投手編に続き、今回はさまざまな一芸を持った超高校級の野手10選手を紹介する。2024年夏の甲子園注目投手10人はこちら>>春夏連覇を狙う…

 8月7日に開幕した第106回全国高等学校野球選手権大会。夏の甲子園にはどんなスター候補が登場するのか。投手編に続き、今回はさまざまな一芸を持った超高校級の野手10選手を紹介する。

2024年夏の甲子園注目投手10人はこちら>>


春夏連覇を狙う健大高崎の箱山遥人

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箱山遥人(健大高崎3年/177センチ・84キロ/右投右打)

春夏連覇を狙う高校ナンバーワン捕手。ハイレベルなスローイングにパンチ力のある打撃、投手によって声かけや配球を柔軟に変える思考力などを高次元で備える。今春センバツでは初戦の試合開始直後、バント処理で素早いチャージから矢のような二塁送球で封殺。この見事なファーストプレーが健大高崎の躍進を呼び込んだように思えてならない。今夏は左腕エースの佐藤龍月が故障離脱する誤算も、箱山の支配力をもってすれば戦えるのではないか。そう思わせるだけの説得力がある。


青森大会準々決勝の八戸学院光星戦で2打席連続本塁打を放った青森山田・原田純希

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原田純希(青森山田3年/170センチ・97キロ/右投左打)

ひと振りで球場のムードを変えるドカベン型スラッガー。大地に根を張るような重厚な下半身でボールを呼び込み、バットを一閃。ここまで高校通算28本塁打を放っている。今夏の青森大会準々決勝では、八戸学院光星との大一番で先制2ランを含む2打席連続本塁打をマーク。とくに2本目はライナーでバックスクリーンに飛び込む衝撃弾だった。高校球界で別格のインパクトを誇る破壊力を甲子園でも見せつけたい。


プロ注目の花咲徳栄の大型遊撃手・石塚裕惺

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石塚裕惺(花咲徳栄3年/181センチ・82キロ/右投右打)

高校球界の主役になれる男。今春のU-18代表候補強化合宿では、木製バットによる打撃練習でサク越えを連発。高校通算26本塁打と本数は控えめも、技術で飛ばせる打撃は惚れ惚れする。今夏は厳しいマークに遭うなか、勝負どころで結果を残して大激戦の埼玉大会を制する原動力になった。大舞台でも動じずに自分のプレーができるメンタリティの持ち主だけに、初の甲子園でも期待は十分。岩井隆監督が「プロでも遊撃を守れると思う」と語る守備でもアピールできれば、ドラフト1位指名が見えてくる。


高校通算64本塁打数の早稲田実業・宇野真仁朗

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宇野真仁朗(早稲田実3年/178センチ・81キロ/右投右打)

木製バットを振りこなす右のスラッガー。ここまで積み上げた高校通算本塁打数は64本。今春から自身のスイングにフィットする木製バットを使用し、東京大会で3試合連続本塁打を放つなどブレイク。ボールとの間合い、距離感が絶妙で、コンスタントに自分のスイングができる。選球眼のよさは全国トップクラスだ。甲子園でも木製バットでスタンドインできれば、大フィーバーが巻き起こる予感がする。今夏から遊撃をこなし、高卒でのプロ入りも射程圏内に入れる貴重な右打ち内野手だ。


1年夏から京都国際のショートを守る藤本陽毅

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藤本陽毅(京都国際3年/170センチ・70キロ/右投右打)

切れ味抜群の遊撃手。1年夏から強豪の遊撃レギュラーを獲得し、甲子園でもプレー。今春センバツは初戦で敗れたものの、2二塁打を含む3安打に機敏な遊撃守備を披露した。身のこなしに瞬発力があり、シャープなスイングで打球に強さが宿る。体は小さくても試合になると大きな存在感を示せる選手だ。福岡・糸島ボーイズでプレーした中学時代に、京都国際で野球をやるために学校にファックスを送ったという逸話からも強靭なメンタリティが伝わってくる。


攻守でチームを牽引する滋賀学園の遊撃手・岩井天史

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岩井天史(滋賀学園3年/184センチ・75キロ/右投左打)

プレー姿に華がある長身遊撃手。長身痩躯で身のこなしが柔らかく、三遊間の深い位置から低く伸びるスローイングは必見だ。打撃面は右足をスッと差し出す大谷翔平(ドジャース)を彷彿とさせるタイミングのとり方が印象的。現時点では飛び抜けた打球の強さは感じられないものの、今後フィジカル面が成熟していけば大化けする可能性を秘めている。いかにもプロスカウトが好みそうな好素材で、高校最後の夏にたどり着いた甲子園は自身の価値を高めるまたとない機会だ。


今春の練習試合で3打席連続本塁打を放った智辯和歌山・花田悠月

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花田悠月(智辯和歌山3年/178センチ・84キロ/右投右打)

木製バットで存在感を示す近畿の雄。トップがピタッと決まり、自分の間合いでボールを呼び込み弾き返すスイングができる。今春には練習試合で3打席連続本塁打(木製バット使用時は1本)の離れ業で話題をさらった。今夏の和歌山大会は7打点と4番打者の仕事を果たしたものの、決勝戦は5打数0安打と沈黙。甲子園ではその一打にチームの浮沈がかかっている。インパクトでもう一段上の爆発力が出てくれば、上のステージでも戦える強打者になりそうだ。


この春のセンバツでも活躍した俊足好打の大阪桐蔭・境亮陽

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境亮陽(大阪桐蔭3年/180センチ・75キロ/右投左打)

タレント揃いの名門でもっともプロに近い位置にいるアスリート型外野手。右翼から放たれるスローイングは、低い軌道でぐんぐん伸びていく爽快な球筋。シートノックから目に焼きつけたい超高校級のパフォーマンスだ。柔らかいスイングが印象的な打撃とスピード感に溢れる走塁も兼ね備えており、今春のセンバツではランニング本塁打を記録した。投手としても最速146キロを計測する豊かなエンジンがあり、ツボにはまればサク越えも可能。走攻守どの場面でも輝ける、目が離せない存在だ。

中村奈一輝(宮崎商3年/183センチ・70キロ/右投右打)

将来性豊かな遊撃手。細身ながら運動能力が高く、50メートル走6秒0の俊足、遠投115メートルの強肩がひときわ目を引く。打撃は高校通算15本塁打と驚く数字ではないが、バットをしなやかに扱いインパクトに強さを出そうとする意図が伝わる。今夏の宮崎大会は腰痛を抱えながらも「1番・遊撃」として出場し、試合終盤になるとリリーフのマウンドへ。投手としても最速146キロを計測し、甲子園出場に貢献している。


昨年夏も4番として甲子園4強に貢献した神村学園・正林輝大

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正林輝大(神村学園3年/178センチ・84キロ/右投左打)

九州を代表する左の強打者。今春のセンバツでは低反発バットで甲子園のライトスタンドに放り込み、強烈な存在感を示した。大会後に招集されたU−18代表候補強化合宿での紅白戦でも木製バットで本塁打を放ち、周囲の選手から羨望の眼差しを受けていた。バットの弾きがよく、打球の初速が際立つ。外野守備は強肩がアピール材料。昨夏の甲子園では主軸としてベスト4進出に貢献しており、今夏はさらなる進化を見せつけられるか。

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