2024年シーズンWRC第9戦ラリーフィンランドは、8月4日(日)に最終日の4SSを走行。最後から2番目のSS19で首位を快走していたトヨタのカッレ・ロバンペラが転倒という終盤の波乱の末、トヨタのセバスチャン・オジエが今季3勝目をマークした…

2024年シーズンWRC第9戦ラリーフィンランドは、8月4日(日)に最終日の4SSを走行。最後から2番目のSS19で首位を快走していたトヨタのカッレ・ロバンペラが転倒という終盤の波乱の末、トヨタのセバスチャン・オジエが今季3勝目をマークした。2位にはヒョンデのティエリー・ヌービル、3位にMスポーツ・フォードのアドリアン・フルモーと、3マニュファクチャラーがポディウムを分けあった。

この日は、拠点となるユバスキラの西部に設定される2本のステージを2ループする4SS、41.66km。この日は日中サービスは設定されず、選手たちはSS17〜SS20をリフューエルのみで走行しなければならない。前日までの総合順位は、首位ロバンペラ、2番手にオジエ、3番手にヌービル、4番手にフルモー、5番手に今戦がラリー1での初参戦となるフィンランド期待の若手、サミ・パヤリ、6番手にWRC部門トップのオリバー・ソルベルグというオーダー。トヨタのエルフィン・エバンスは前日のデイリタイアから総合22番手で再スタート、土曜日に再スタートした勝田貴元は46番手、同じくヒョンデのエサペッカ・ラッピは総合52番手、土曜日にデイリタイアしたMスポーツ・フォードのグレゴワール・ミュンステールは総合58番手から再スタートした。この日の走行順はミュンステールが先頭、以下ラッピ、勝田と続く。

この日最初のSS17は14.70kmのSahloinen-Moski 1。44.2秒のリードを築いてこの日をスタートしたロバンペラは、この日もペースを緩めずベストタイムで差を広げる。選手権争いのためにもスーパーサンデーでポイントを重ねたいエバンスが0.4秒差のセカンドベスト。オィット・タナックがラリーリタイアを喫しているヒョンデのためにポイント獲得が使命となるラッピが、1.0秒差の3番手タイムで続いた。

続くSS18は、4.35kmのLaajavuori 1。ロバンペラはここでもトップタイムをマークし、2番手タイムのオジエとの差を45.8秒に広げた。3番手には選手権争いのためにはエバンスよりも多くポイントを獲得しておきたいヌービルが続いたが、ここでは「加速でリヤを失い危なかった。0.1〜0.2秒ほどロスしたと思うが、バランスがよくない」と懸念を見せる。

リフューエルを挟み、SS17のリピートとなるSS19のSahloinen-Moski 2。ここでは、エバンスがスタート直後にラインを外して木にヒットするという波乱が。さらに首位を独走していたロバンペラが、フィニッシュまで残り1km、ギャラリーポイントを抜けた直後の左コーナーでコース上の石に引っかけて転倒という番狂わせが。クルーは無事だったが、目前に迫っていた母国での初優勝が水の泡となって消えてしまった。一方で、ここでは勝田が、今大会初めてのステージウインを奪取。総合首位はオジエとなり、ヌービルが2番手、フルモーが3番手とポディウム圏内に浮上したが、それぞれの差は42.5秒差、32.9秒差と大きく開いている。

最終パワーステージのSS20は、SS18のLaajavuoriを2周する8.77kmの設定で、走行はラリー2勢からスタート。トヨタGRヤリス・ラリー2でWRC2部門に参戦しているトヨタのチーム代表、ヤリ‐マティ・ラトバラに36.5秒のリードを握って部門トップでこのステージを迎えたオリバー・ソルベルグ(シュコダ・ファビアRSラリー2)は、ペースをコントロールした走りで部門3番手タイムでまとめ、前戦ラトビアに続いて2連勝。フィニッシュでは、ラトバラから祝福を受けた。

続いてラリー1勢は、Mスポーツ・フォードのグレゴワール・ミュンステールからスタート。続くラッピは、スーパーサンデーポイントを狙って豪快なドリフトで全開アタック。ミュンステールのタイムを10秒以上更新してみせた。次の勝田は、選手権争いのためにはヒョンデ勢を抑える使命を担い、ラッピのタイムを1.2秒先行する好走。続くパヤリは、左リヤをヒットしてスポイラーの一部を失うギリギリの激走を見せたが、勝田のタイムには届かず。それでも、初めてのラリー1マシンでのラリーを好リザルトで走り切った。次のフルモーは、ラッピに続くタイムで確実にポディウム圏内でのフィニッシュを決めた。波乱の展開のなか選手権首位の座を守り抜きたいヌービルは、勝田に0.7秒差とここまでの2番手タイムで、最後に登場するオジエの結果を待つ。そのオジエは、5番手タイムに留まりスーパーサンデートップの座は逃したが、フィンランドでは2回目、通算61回目となる総合優勝を決めた。しかし、ロバンペラとの1‐2フィニッシュは叶わず、悲喜こもごもの結果となった。





これで最終SS終了時点での総合順位はオジエ、ヌービル、フルモー、パヤリ、WRC2勢のソルベルグ、ラトバラ、ラウリ・ヨーナ(ファビアRSラリー2)、ミッコ・ヘイッキラ(GRヤリス・ラリー2)と、ラリーを通しての波乱を物語るかのようなトップ8となった。パワーステージは勝田、ヌービル、ラッピ、フルモー、オジエがトップ5に入り、それぞれボーナスポイントを獲得。ラッピは、スーパーサンデーでもトップとなっている。

今季から導入されたポイントシステムの規定により、土曜日の時点で首位に立っていたロバンペラが日曜日にリタイアしたことで、ロバンペラは土曜日までの順位によるポイントも消滅。その結果、最終ステージを終えた時点で、土曜日までのポイントと日曜日単独順位によるポイント、そしてパワーステージでのボーナスを合計すると、ウイナーのオジエが24ポイント(18点+5点+1点)、2位のヌービルはパワーステージポイントとともにスーパーサンデーのポイントを加えて、オジエにわずか1ポイント差の23ポイント(15点+4点+4点)を獲得している。3位フィニッシュのフルモーは18ポイント(13点+3点+2点)、土曜日の時点で総合48位だったラッピは、日曜日単独の順位ではトップとなり、スーパーサンデーだけで10ポイントを計上。しかし、トヨタのパヤリが12ポイント(10点+2点+0点)、勝田も11ポイント(0点+6点+5点)と、ヒョンデのラッピよりも多くポイントを獲得した。

ドライバーズランキング上位はヌービルが168ポイントで首位を死守した一方、オジエが141ポイントで一気に2番手に浮上。タナックは今回ノーポイントに終わったものの137ポイントで3番手に踏みとどまった。エバンスは132ポイントの4番手。以下、5番手のフルモーが119ポイント、ロバンペラが86ポイントで6番手、勝田が76ポイントで7番手という並びとなった。マニュファクチャラーズポイントは、ヒョンデが395点、トヨタが375点と、その差が20ポイントに広がった。3番手のMスポーツ・フォードは207点となっている。





次戦は9月5日〜8日に開催されるアクロポリス・ラリーギリシャ。ここまでの高速グラベル3戦とは一転、酷暑の中、固い地盤に石が散乱する、クルーにもマシンにも過酷なラフグラベルが舞台となる。今年もラミアにサービスパークが設定される。

WRCフィンランド 暫定結果
1. S.オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッド) 2:25:41.0
2. T.ヌービル(ヒョンデi20Nラリー1ハイブリッド) +40.1
3. A.フルモー(フォード・プーマ・ハイブリッド・ラリー1) +1:14.1
4. S.パヤリ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +1:54.5
5.O.ソルベルグ(シュコダ・ファビアRSラリー2) +8:15.5
6.J-M.ラトバラ(トヨタGRヤリス・ラリー2) +8:54.5
7.L.ヨーナ(シュコダ・ファビアRSラリー2) +9:29.4
8.M.ヘイッキラ(トヨタGRヤリス・ラリー2) +9:32.0
9. N.グリアジン(シトロエンC3ラリー2) +9:51.2
10.G.リンナマエ(トヨタGRヤリス・ラリー2) +10:07.0

*獲得ポイントについての表記を追記しました。