先週から開催された「パリ2024オリンピック」。スケートボードストリート種目では男女共に日本人が金メダルを獲得する快挙を見せる中、現地時間で来週8月6日に開催されるのがスケートボード女子パーク。東京2020オリンピックと同じく予選と決勝が同…

先週から開催された「パリ2024オリンピック」。スケートボードストリート種目では男女共に日本人が金メダルを獲得する快挙を見せる中、現地時間で来週8月6日に開催されるのがスケートボード女子パーク。東京2020オリンピックと同じく予選と決勝が同日で行われる形となる今回。本記事では注目選手や見どころを紹介。

スケートボード競技はオリンピックの正式種目に採用されてから2度目の開催となるが、前回の東京大会ではコロナ禍の影響もあり、無観客となるなど異例のオリンピックデビューとなった。しかし今回のパリ大会ではパリ市内の中心地であるコンコルド広場に特設会場を置き、満を持して有観客の中で開催される。

注目のパリオリンピック出場選手


四十住さくら Photo: OIS/Kieran Cleeves. Handout image supplied by OIS/IOC

おそらく金メダル候補として一番期待されているのは東京大会の覇者である日本の四十住さくら(世界ランキング3位)だろう。昨年はオリンピック予選大会の最中にも関わらず怪我に悩まされ、最終予選として開かれたオリンピック予選シリーズ(以下:OQS)の最終戦であるブダペスト大会では決勝進出を逃しギリギリまで今大会出場が危ぶまれた。そんな中で親友スカイ・ブラウンの活躍もあり、なんとか出場権を獲得し挑む2度目のオリンピック。

しかし、そんな彼女はこの大舞台に向けて調子を上げており、OQS上海大会では完成度の高い「ヒールフリップインディグラブ」「バックサイド360」「フロントサイドブラントスライド」など幅広いトリックチョイスで3位入賞した。パリオリンピック本番では最終予選でメイクできなかった「ノーグラブ540」や今回のための新技を決めてくるのかが注目だ。


スカイ・ブラウン Photo: OIS/Kieran Cleeves. Handout image supplied by OIS/IOC

この文脈で見逃せない優勝候補が、イギリスのスカイ・ブラウン(世界ランキング4位)。オリンピック予選大会前半では出場する大会では確実に優勝を収めてきた彼女も四十住同様に昨年怪我に悩まされてきた。そんな彼女は怪我復帰後はオリンピック予選大会最終戦のブダペスト大会だけの出場となったが見事2位入賞し、オリンピックに弾みをつけた。

キックフリップや360などのバリエーションを得意とするスカイはボックスジャンプでの「アーリーウープバックサイド360」や、完成度の高い「キックフリップインディーグラブ」なども特徴的で安定的にメイクする力を持っている

そんな彼女だがこのパリに来て練習中に肩を脱臼したとの情報が入った。このタイミングでの怪我は精神的にも肉体的に厳しいと思うがどれだけパフォーマンスに影響せず持ってこれるかに注目だ。


アリサ・テルー Photo: OIS/Kieran Cleeves. Handout image supplied by OIS/IOC

そして優勝候補の一角として急激な成長を遂げて今大会を迎えるのはオーストラリアのアリサ・テルー(世界ランキング2位)。直近で行われたOQSの2大会ではどちらも優勝するなど完璧に自分の状態を今大会に向けて調整しており一番の金メダル候補ともいえる。彼女はバーチカルも得意とすることから、その強みを活かした横回転系のトリックはレベルが高く非常に評価されている。

そんな中でも特に注目なのは難易度が高いにもかかわらず、高い完成度を誇る「バックサイド540」や「マックツイスト」、そして女子ではあまり取り入れられていない「スイッチバックサイドメロングラブ」や「スイッチフロントサイドエアー」などスイッチトリックも持っている。きっと今大会でもオリンピック専用に用意してきた新技も用意していると考えられるため、彼女のランは見逃せない。


開 心那 Photo: OIS/Kieran Cleeves. Handout image supplied by OIS/IOC

そんな彼女たちを横目に虎視淡々と今大会の金メダルを狙うのが世界ランキング1位の開心那だ。東京オリンピックでは銀メダリストとなった彼女はその後も強さを見せ続けた彼女がコンスタントに好成績を残し、OQS2024上海大会後の時点で代表権を確保した。

開の得意とするのはグラインド系のトリック。コーピングを活かして長い距離を流す「バックサイドノーズグラインド」、「フロントサイドスミスグラインド」、そして「フロントサイドスミスストール」とコーピング際のトリックの完成度は圧巻。新バリエーションなども含め最高のライディングを披露し前回よりも良い色のメダルを獲得することはできるのか。


草木ひなの Photo: OIS/Kieran Cleeves. Handout image supplied by OIS/IOC

そしてもう一人、日本人選手勢で忘れてはいけないのが今回オリンピック初出場となる草木ひなの(世界ランキング5位)。OQSの2戦では自身の思うベストなライディングはできなかったものの、昨年のアジア選手権では優勝そして同年の世界選手権では準優勝を収めるなど、オリンピック予選大会では全体を通してコンスタントに成績を残し、日本人最後の3枠目をなんとか確保した。

そんな草木の注目トリックは一際スタイルが目立つ「バックサイド540」だ。他の女子選手と一線を画しているのはその着地姿勢。他の選手は着地時にしゃがむような姿勢を取る一方で、彼女は次の加速を見据えて立った状態でライディングするのだ。まさに彼女の周りの親しいスケーターたちからの証言にもある通り、女子とは思えない度胸の溢れるライディングが特徴的な彼女は初めてのオリンピックで攻めのライディングを見せてメダルを手にすることは出来るのか。

ここまでは優勝候補と日本人選手たちについて触れてきたが、その牙城を崩す可能性のある選手たちを紹介したい。

まず取り上げたいのはスペインのナイア・ラソ(世界ランキング13位)だ。昨年から急激に頭角を現した彼女は今年の「WST Dubai」では優勝を果たすなど結果も伴って優勝候補たちの牙城を揺るがす存在となっている。OQS上海大会では大会直前練習中に鎖骨を骨折するなど不運に見舞われ、一時はオリンピック出場権獲得も危ぶまれたがなんとか今大会への切符を掴んだ。今回注目なのは「バックサイド540」や「フェイキーバックサイド360」など回転系のトリックのバリエーションだが怪我がどこまで回復しているのかも気になるところ。復調していれば確実に金メダル争いに食い込んでくることだろう。

そして最後に触れたいのはスケートボード大国の一角であり世界ランキング11位までに3名を輩出したブラジルだ。まずは世界ランキング6位で今大会の出場を決めたライカ・ベンチュラ。彼女は2023年の「WST San Juan」で3位入賞すると、その後の世界選手権では4位とその実力を発揮してきた。OQSでは思うような結果を出せていなかったが、今大会でも上位に入ってくることが予想される。

そんなベンチュラに続いて上位にランクインして今大会を迎えるのが、ドーラ・ヴァレーラ(世界ランキング9位)とイサドラ・パチェコ(世界ランキング11位)だ。二人ともブラジル国内のSTUシリーズでは数々の大会で優勝や準優勝を果たし、ワールドカップでもコンスタントに決勝進出することで強さを示している。今大会でもブラジル選手たちのライディングに注目だ。

ストリート種目の方では堀米雄斗がオリンピック2連覇を達成したことで、前回王者として出場する四十住さくらへの期待は多く集まっていることだろう。だが今大会には優勝候補が複数名おり誰が優勝してもおかしくないことからその道のりは非常に厳しいものになることは間違いない。パリの地で生まれるオリンピックチャンピオン誕生の瞬間に刮目せよ。

出場選手一覧

スケートボード ・女子パーク種目:全22名

1. 開 心那(日本)
2. アリサ・テルー(オーストラリア)
3. 四十住 さくら(日本)
4. スカイ ブラウン(イギリス)
5. 草木 ひなの(日本)
6. ライカ・ベンチュラ(ブラジル)
7. ブライス・ウェットスタイン(アメリカ合衆国)
8. ルビー・テルー(オーストラリア)
9. ドーラ・ヴァレーラ(ブラジル)
10. ルビー・リリー(アメリカ合衆国)
11. イサドラ・パチェコ(ブラジル)
12. ミナ・ステス(アメリカ合衆国)
13. ナイア・ラソ(スペイン)
14. ヘイリ・シルビオ(フィンランド)
15. リリー・ストファシウス(ドイツ)
16. ナナ・タブレ(フランス)
17. ローラ・タンブリング(イギリス)
18. フェイ・イバート(カナダ)
19. エミリー・アレサンドレ(フランス)
20. ジュリア・ベネデッティ(スペイン)
21. ハオハオ・ゼン(中国)
22. アヤ・アサカス(モロッコ)

大会スケジュール:日本時間

-8月6日(火) 
19:30~ スケートボード女子パーク 予選
24:30(8月7日00:30)~ スケートボード女子パーク 決勝

パリオリンピックでの日本人選手たちの活躍はテレビ放送やTVerで視聴して応援しよう!

パリ2024オリンピックのスケートボード女子パーク種目の戦いの模様は、NHKや各キー局での地上波およびBS放送に加えて、TVerでのオンライン配信が予定されている。随時放送情報は更新されているが現時点での国内放送スケジュールは以下の通りだ。
*「2024年7月23日時点、FINEPLAY編集部調べ」

8月6日 19:00/19:20/19:30~ スケートボード女子パーク 予選【フジテレビ系列/NHK BS】
8月7日 00:00/00:20/00:30~ スケートボード女子パーク 決勝【フジテレビ系列/NHK BS/BSフジ】

なお各競技の最新情報はオリンピックのウェブサイトや公式アプリで気軽にアクセスできるので是非ダウンロードしてみて欲しい。日本人選手たちの大活躍をテレビの前で一緒に応援しよう!

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