本田真凜インタビュー『ワンピース・オン・アイス』2024 2023年夏に話題を呼んだ『ワンピース・オン・アイス〜エピソード・オブ・アラバスタ〜』の再演が決定。今年9月7〜8日のショーを前に、7月上旬には昨年の公演の上映会も開催され、強い意志…

本田真凜インタビュー『ワンピース・オン・アイス』2024

 2023年夏に話題を呼んだ『ワンピース・オン・アイス〜エピソード・オブ・アラバスタ〜』の再演が決定。今年9月7〜8日のショーを前に、7月上旬には昨年の公演の上映会も開催され、強い意志を持つビビを演じた本田真凜が、舞台挨拶・上映会後に個別取材に応じてくれた。



『ワンピース・オン・アイス』でビビ役を演じる本田真凜

【王女ビビとの共通点】

ーー昨年、『ワンピース』のビビ役を演じてみて、ご自身のなかに一番大きく残ったものは何でしたか?

本田真凜(以下同) 去年は本当にいろんなことを経験したし、いろんなことがあった年だったんですけど、「何が一番」と言われたらやっぱりビビを演じたこと。フィギュアスケートを長くやってきたなかでも、これだけの人数で長期間練習して、ひとつのものをつくり上げていくという経験はなかったので、あらためて現役最後のシーズン前にスケートや表現の楽しさを、ビビを演じることを通して感じられたなと思います。

ーービビを演じる前後で、キャラクターに対する思いはかわりましたか?

 演じる前は(作中「アラバスタ王国」の)国民を大切にする責任感のあるキャラクターだなと感じていたんですけど、そのなかにある儚さだったり、不器用さをどんどん感じるようになって。そういったものを表情だけではなく、どうやったら遠くのお客さんにまで届けられるかというところを考えました。

ーービビについて「仲間のことを自分以上に大切にしている」とコメントされていましたが、自分との共通点はどんなところだと思いますか?

 共通点について考えると、私は妹たち(本田望結、紗来)や誰かの喜ぶ顔が見たくて買いものをするのが好きなんです。自分に何かを買うことはあまりなくて。「自分よりも誰かに」って、そういうことがすごく好きなので、その部分では似ているのかなと思います。あと自分が絶対やると決めたことは、どれだけ難しいことでも絶対にやりきるっていうのは、小さいころからしてきたのかなと思っていて。そこもビビに近いところかなと思っています。



ⒸO/S・F・T OPOI2024

【妹・望結の演技に刺激】

ーー今年の公演で力を入れたいところはありますか?

 去年の公演が終わった時には本当に100%満足したという感じでしたが、いろんな映像を見返してみると、(望結が演じる)ナミが全公演で涙を流しているのがやっぱりすごいなと思いました。最後の公演は、めちゃくちゃ涙を流しながら表現しているナミを見て、私自身もつられるように涙が出てきたんです。

 自分も(客席から)涙が見えないとかそういうことはまったく考えずに、ビビちゃんが涙を流して訴えるようなシーンでは、すべて表現できるようにしたいなというのが今年の目標です。

ーー「ビビは悲しい、つらい気持ちのほうが多い」とおっしゃっていましたが、楽しい気持ちになるシーンはどんなところでしたか?

(宇野昌磨が演じるルフィら麦わらの一味の)みんなの熱戦はビビのために頑張ってくれているんだ、というのを特等席で見られるシーンがすごくうれしい瞬間ですね。それ以外だと、ビビは基本的に悲しいとか、怒りとか、そういう感情の部分が多いと思います。

ーービビのアラバスタ国民に対するスピーチからラストへ向かうシーンは感動的です。この場面はどういうふうに演じようと考えているのでしょう?

 あの場面は(振り付けの宮本)賢二先生も「ビビの思うがままに」というふうにおっしゃってくださっています。なので、毎回(滑る)コースや振り付けも少しずつ違うんです。自分自身でも何も決めていなくて、その時々で感じるままに演じているので、あのシーンが好きと言ってもらえるのはすごくありがたいです。



ⒸO/S・F・T OPOI2024

【舞台裏で仲間とともに号泣】

ーーそこまでの物語が感動的なシーンをつくっているんですね。

 そうですね。スピーチの間にいったんリンクサイドにはけて、昨年の新横浜の公演は、(スケートリンクの)反対側から出るので裏を走り回っていたんですけど(笑)、名古屋公演の時は(河野有香が演じる)カルーと待機場所で1分くらい時間があったんです。最終公演の時はそこでカルーがめちゃくちゃ号泣しているのを見て、私もつられるように涙が出てきて。

 お稽古期間とか、みんなで頑張ってきたのを思い返しながらリンクに出ていったら、船の上の(麦わらの一味の)みんながまた違ったように見えたんです。そんな最終公演のラストシーンは、自分にとってもすごく思い出に残っています。

ーー本田さん演じるビビから見た麦わらの一味はどういうふうに映っていますか?

 本当にカッコいいです。氷上でも特等席でみんなのことを見られるので、私が一番、一味全員を客観的に見ることができるのかもしれません。それぞれが成長していく過程も全部一緒に練習して見てきましたが、全員本当にすごくカッコいいんです!

【クロコダイルの優しさに感動?】

ーーアラバスタ国民たちはいかがですか?

(ビビの幼馴染のキャラクターで友野一希が演じる)コーザもすごいんですよ。コーザが(無良崇人が演じる)クロコダイルに倒されてしまうシーンは、その瞬間にかける演技が本当にすごくて。お互い全力でダッシュする場面があって体力的に本当にハードなんですが、コーザとすれ違ったなというのを風で感じる瞬間に、「ラストも頑張るぞ!」という気持ちになります。

ーーそして、敵であるバロックワークスはどうでしたか?

 バロックワークスはものすごく勉強になることが多かったです。お稽古期間も、とくにミス・メリークリスマスの(中野)耀司くんの演技がすばらしいなと思っていました。幕裏にはける時、幕裏のなかまでずっと演じているんです。そんな姿を見て得られたものもたくさんありました。

ーー舞台裏で記憶に残っているエピソードがあったら教えてください。

 クロコダイルとルフィの戦いのあと、ビビがスタンバイする時に「演出の煙が目に染みることがあるんだ」と軽く話したら休憩時間にクロコダイル(を演じる無良)が目薬とか目の洗浄液とか、いろんなものを薬局で買ってきてくれたんです。(作中では)私が倒そうとしているクロコダイルがすごく優しくて(笑)。

ーー最後に、あらためて『ワンピース・オン・アイス』の魅力を教えていただけますか?

 去年来ていただいた方にもまた新たに楽しめるポイントを自分たちでつくっていきたいですし、「スケートってこんなこともできるんだよ」という部分でもスケートファンの皆さんはもちろん、ワンピースファンの皆さんにも絶対に楽しんでいただけると思います。期待して待っていてください!


【プロフィール】
本田真凜

 ほんだ・まりん 
プロフィギュアスケーター。2001年、京都府生まれ。2歳からフィギュアスケートを始め、ノービス時代から国際大会に出場。ジュニアに参戦した2015−2016シーズンには世界ジュニア選手権で優勝。翌2016−2017シーズンは世界ジュニアで2位、シニア選手相手に全日本選手権でも4位に入る。シニアに転向後、全日本選手権やグランプリシリーズなど国内外の大会に出場。2024年1月に現役引退を発表。現在は、プロとしてアイスショー出演とともに、フジテレビ系「フィギュアスケートSPフィールドキャスター」としても活躍。

『ワンピース・オン・アイス〜エピソード・オブ・アラバスタ〜』
日本屈指のフィギュアスケーターが集結し、アニメ『ワンピース』をアイスショー化。2023年夏に開催された初演で、世界初の試みが高く評価され2024年も再演が決定。9月7〜8日に千葉県船橋市のLaLa arena TOKYO-BAYで開催される。