試合後に涙をながらしながらリングを降りるケリフ。(C)Getty Images リング上で流した大粒の涙は、騒動の大きさ…

試合後に涙をながらしながらリングを降りるケリフ。(C)Getty Images

 リング上で流した大粒の涙は、騒動の大きさを物語るようだった。

 現地時間8月3日にパリ五輪の女子ボクシング66キロ級は準々決勝が行われ、性別騒動で“渦中の身”となったイマネ・ケリフ(アルジェリア)はアンナ・ルツァ・ハモリ(ハンガリー)と対戦。5-0の判定勝ちを収め、銅メダル以上を確定させた。

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 ケリフは今大会57キロ級に出場しているリン・ユーチン(台湾)とともに、昨年の世界選手権前の性別適格性検査で「XY染色体を持っている」と判明。同時に女子競技への出場権を剥奪された背景からパリ五輪参加が論争となっていた。

 そうした中で、ケリフの下には誹謗中傷を含めた意見が殺到。参加を認めた国際オリンピック連盟のトーマス・バッハ会長が「どうして女性として生まれ、育てられ、競技に出場し、パスポートを持つ女性を、女性と認められないというのか」と声明を出す異例の事態となっていた。

 決定打こそ欠いた。それでも長いリーチを生かした左ジャブからボディー、ストレートの打ち分けなど多彩なスキルを見せたケリフは、ホールディングで減点1以外に1点も失わない”フルマーク”で圧勝。試合後にはハモリとも健闘をたたえ合った。

 リングを去る際に感情を爆発させ、涙を流しながらコーチ陣と抱き合ったケリフ。試合後に中東のスポーツネットワーク局『beIN Sports』のインタビューに応じ、「私は国際ボクシング協会で何年もボクシングをやってきたが、その協会が私を裏切った」と目を潤ませながら強調。さらに「だけど、私は神と愛する人たちと共にある」と語る25歳は、こう訴えかけている。

「私はアルジェリアのために、ここパリでメダルを獲得できたことをとても誇りに思う。ここにたどり着くまで、私は努力してきたんです。もちろんここから金メダルを獲るための戦いが始まります。だけど、ここで一連の騒動で私を支え、同情してくれたすべての人に感謝したいです。これはすべての女性のための勝利だと思っています」

 ついに4強にまで進出したケリフ。その勢いはどこまで続くのか。現地時間8月6日に行われるチャンチェーム・スワンナーペン(タイ)との一戦も大きな注目を集めそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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