選手村の過酷な環境に正直な想いを語ったチェッコン。(C)Getty Images 目下開催中のパリ五輪にあって、多くのアスリートたちの拠点となっている選手村の話題は尽きない。 組織委員会が「史上最も環境にやさしい大会」を成功させるべくセーヌ…

選手村の過酷な環境に正直な想いを語ったチェッコン。(C)Getty Images

 目下開催中のパリ五輪にあって、多くのアスリートたちの拠点となっている選手村の話題は尽きない。

 組織委員会が「史上最も環境にやさしい大会」を成功させるべくセーヌ川沿いに建設された今大会の選手村。82棟約7200室が配備され、映画館なども完備された同施設は、アスリートや各国スタッフにとって“憩いの場”となるはずだった。

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 だが、開幕から1週間が過ぎ、利用者からは“クレーム”が噴出している。運営側が環境の観点を重視した食事は肉料理が不足し、選手たちが「最悪」と酷評する始末。さらに施設内で複数の窃盗事件も報告され、セキュリティー体制も問題視されている。

 芳しくない環境に嫌気がさしている選手は少なくない。男子競泳のイタリア代表であるトーマス・チェッコンは、フランスの日刊紙『Ouest France』で「部屋はエアコンがなくてとても暑いし、食べ物もまずい。だから、多くのアスリートが引っ越してるんだ」とキッパリ。フラストレーションを隠さずに訴えている。

「これはパフォーマンスに対する言い訳じゃない。選手たち以外に誰もが知らない、あるいは目にできない事実なんだ」

 実際に暮らしているからこそ分かる内情を明かした23歳は、現地時間7月29日の男子100メートル背泳ぎでこそチームで銅メダルを手にしたが、2日後に実施された200メートル背泳ぎでは決勝にすら勝ち進めなかった。

 この満足のいかない結果をふまえ、こうも続けている。

「これは言い訳ではないんだと強調したい。100メートルの時と同じ自信を持って水に入れなかったんだ。それが失敗だった。とにかく疲れがあった。200メートルの背泳ぎは準決勝の時点で諦めていたんだ……。午後も、夜中も、騒音と暑さが続いて、ちゃんと眠れなかったんだ。それで僕は疲れ切っていた」

 改善も見られず、万全とは言い難い選手村。その環境で暮らす選手たちの不満は募る一方だ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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