昨年に性別適格性検査に不合格となっていたケリフ。そんな中での五輪参戦は波紋を呼んだ。(C)Getty Images 衝撃的な結末だった。 現地時間8月1日にボクシング女子66キロ級2回戦が行われ、イマネ・ケリフ(アルジェリア)は、ア…

昨年に性別適格性検査に不合格となっていたケリフ。そんな中での五輪参戦は波紋を呼んだ。(C)Getty Images

 衝撃的な結末だった。

 現地時間8月1日にボクシング女子66キロ級2回戦が行われ、イマネ・ケリフ(アルジェリア)は、アンジェラ・カリニ(イタリア)と対戦。開始46秒で相手が棄権する形で勝利した。

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 昨年の世界選手権で、国際ボクシング協会(IBA)の実施した性別適格性検査に不合格となり、出場権を剥奪された過去があるケリフ。今大会の女性競技参加について国際オリンピック委員会(IOC)が「すべての選手は出場資格および参加規定、適用可能なすべての『医療規定』を順守している」と明言。IBAの検査が考慮されない形で参戦が認められた。

 当然、ケリフの参戦は小さくない反発を招いた。そして、このカリニ戦だ。開始わずか46秒で相手が「鼻に2度のパンチを受けた時に、それがあまりにも痛すぎた」とするダメージを負っての決着だっただけに、波紋は大きく広がった印象がある。

 一方で、3年前の東京五輪に女性として参戦していたケリフの挑戦に理解を示す向きもある。

 2回戦後にイタリアの日刊紙『La Gazzetta dello Sport』の取材に応じた、カリニのトレーナーを務めたエマニュエル・レンツィーニ氏は「ケリフのことは知っていたし、決して無敵だとは思っていなかった」と発言。「あのような結果になってしまったのは残念だが、彼女(ケリフ)がここにいるのは、IOCが参加を認めたからだ。とにかくこの件は複雑で、難しい」と論じている。

 また、オーストラリアの女子ボクシング代表のトレーナーを務めるサンティアゴ・ニエバ氏は、英紙『Daily Mail』で「『基準に合致している』とIOCが言っているのだから、それに従うしかない」と持論を展開。「憶測で物事は言いたくない」としつつ、こう続けている。

「私は以前に戦っている彼女(ケリフ)を見たことがある。巧いし、タフだし、強い。だけど、男と戦っているという印象はなかった。この手の問題は、多くの人が望むほど、白黒はっきりしたものがないことは理解している。とにかく我々は彼女と対戦した経験もあるし、打ち負かす準備をするだけだよ」

 2021年東京五輪はライト級で出場し、準々決勝まで進出していたケリフ。果たして、論争渦巻く今大会は、どこまで勝ち進むだろうか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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