ケリフの握手を拒否してリングを降りていったカリニ。(C)Getty Images 参戦が一部で疑問視されていた女子ボクサーの試合は、波乱の結果となった。 現地時間8月1日にボクシング女子66キロ級2回戦が行われ、イマネ・ケリフ(アルジェリア…

ケリフの握手を拒否してリングを降りていったカリニ。(C)Getty Images
参戦が一部で疑問視されていた女子ボクサーの試合は、波乱の結果となった。
現地時間8月1日にボクシング女子66キロ級2回戦が行われ、イマネ・ケリフ(アルジェリア)は、アンジェラ・カリニ(イタリア)と対戦。開始46秒で相手が棄権する形で勝利した。
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ケリフの勝利は波紋を呼んだ。というのも彼女は昨年の世界選手権時に、国際ボクシング協会(IBA)の性別適格性検査で失敗。XY染色体を持っていることが証明されたために、出場権を剥奪された過去あったからだ。
今五輪は国際オリンピック委員会(IOC)が、医学的にも女子競技参戦が問題ない、と判断。満を持して参加しているのだが、一部選手たちからは参加に対する懸念の声が高まっていた。
そうした中での決着は衝撃だった。序盤からケリフの強打を浴びたカリニは、自ら棄権を選択。試合結果が場内にコールされると、25歳のイタリア人は両膝をキャンバスにつけて号泣。ケリフとも握手を交わさずリングを降りた。
試合後、母国紙『La Gazzetta dello Sport』などの取材に応じたカリニは「私は諦めるつもりはなかった。でも、鼻に2度のパンチを受けた時に、それがあまりにも痛すぎて、息が出来なくなって、『もうたくさんだ』と言ったの。胸を張っていくつもり」とコメントしている。
また、セコンドにいたトレーナーのエマニュエル・レンツィーニ氏は多くのファンから「お願いだから戦わないでほしい。相手は男だ。彼女にとって危険だ」とメッセージを受け、事前棄権も考えていたと告白。しかし、最終的には本人の意思でリングに立ったという。
試合後にケリフを取り巻く論争は「何の影響もなかった」と振り返ったカリニ。だが、『La Gazzetta dello Sport』は、試合後にリングを降りる際、彼女は「不公平よ……」と数回にわたって周囲に不満をぼやいていたとすっぱ抜いている。やはり彼女は相手との力の差は感じていたのかもしれない。
なお、危なげなく試合に勝利したケリフは、準々決勝に進出。現地時間8月3日にハンガリーのアンナ・ルツァ・ハモリと対戦する。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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