アスリートたちが日々得ている選手村の食事はクレームが止まらない異常事態となっている。(C)Getty Images 現地時間7月26日の本格的な開幕以来、世界的な注目を集めているパリ五輪。多くのアスリートたちが見せるドラマチックな勝負に世界…

アスリートたちが日々得ている選手村の食事はクレームが止まらない異常事態となっている。(C)Getty Images

 現地時間7月26日の本格的な開幕以来、世界的な注目を集めているパリ五輪。多くのアスリートたちが見せるドラマチックな勝負に世界が沸く一方で、ネガティブな話題も少なくない。

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 とりわけ問題視されているのは、選手村の食事事情だ。身体が資本となるアスリートたちにとって、日々摂取する食事はメダル争いをする上でも重要な要素となる。だがしかし、今大会の選手村で提供される食事に対する反響は、まさにクレームのオンパレードといった状態だ。

 実際に提供を受ける選手たちからも苦情は絶えない。英オリンピック委員会の理事を務めるアンディ・アンソン氏は、母国紙『The Times』で同国選手が「食堂で食事を取ること自体を嫌がっている」と公言。「食事のクオリティに問題がある」として食事提供のためのシェフを緊急で派遣したと明かした。

 また、ドイツ紙『Bild』の取材に応じたホッケー男子代表のクリストファー・リュールは「控えめに言っても食事のレベルは最悪だ」とキッパリ。「食事の質も格別に良いわけじゃない」と提供されるメニューに対するフラストレーションを隠そうとはしなかった。

 選手や関係者たちからここまでストレートな苦情が殺到するのも稀有だ。ではなぜ異例の状況は起きてしまったのか。要因のひとつとして考えられているのが、ビーガン食に重点を置いた食事提供にある。

 今大会に「史上最も環境にやさしい大会」を目標に掲げるパリ組織委員会は環境に配慮した措置が至るところで目立っている。無論、選手村の食事も例外ではなく、CO2排出量や動物福祉の観点から肉料理や乳製品料理ではなく、野菜や豆、穀物を中心としたメニューが多く組まれたという。

 だが、より多くの食材からバランスよくエネルギーを得なければならない選手たちにとって、ビーガン食中心の食生活は「酷」だった。

 2012年のロンドン五輪の100メートル自由形で銀メダルを獲得した元競泳選手のジェームズ・マグヌッセン(豪州)は、ポッドキャスト番組『Matty & The Missile』で「今大会で世界記録が出ていないのは、結局のところ、選手たちの環境が、二酸化炭素排出量が少ないビーガン第一の考え方の下で構築されているからだ」と断言。そして、こう続けている。

「組織委員会は多くの選手がビーガン食よりも肉や乳製品を選ぶと予想できていなかった。調理運営業者は不足した食品の量を増やしたようだが、そもそもワールドクラスのアスリートはビーガン食を取っていないんだよ」

 環境整備に重点を置いた組織委員会。しかし、彼らの思惑は多くの反発を招き、次々と裏目に出ている感が否めない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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