現在、フランス・パリでオリンピックが開催されている。サッカー男子U-23日本代表は、グループステージ最終戦を残して、準…

 現在、フランス・パリでオリンピックが開催されている。サッカー男子U-23日本代表は、グループステージ最終戦を残して、準々決勝進出、ベスト8入りを決めた。グループステージの戦いで見えた若きサムライブルーの強さを、サッカージャーナリスト後藤健生が解き明かす。

■人材がそろっている「かつての弱点」

 日本チームが、苦しい時間帯にも、あるいは数的優位に立った場面でも、慌てず、焦らず、冷静に戦えるのは守備が安定しているからだ。

 アジアカップ以来、再三のピンチを防ぎ、PKをストップして見せる小久保の存在は選手たちに余裕を与えるし、センターバックも安定している。

 マリのスピードのあるFWが抜け出しても、最短距離を走って相手がボールを受ける瞬間を狙ってコンタクトしてボールをかき出し、高さのある相手ともヘディングの競り合いでも互角以上に戦えている。センターバックのポジションでは西尾隆矢木村誠二、高井幸大の3人でローテーションしながら起用されているが、両CB間のチャレンジ・アンド・カバーの関係性も良いので、安心して見ていられる。

 かつて、「日本はMFには人材が豊富だが、ゴール前のポジションであるセンターバックとセンターフォワードが弱点」と言われていた。

 だが、今では冨安健洋板倉滉谷口彰悟町田浩樹など日本代表のセンターバックは人材がそろっている。そして、U-23代表もやはり優れたDFに恵まれているのだ。

 192センチの身長でスピードがあり、守備の駆け引きもうまく、さらに攻撃の起点となるパスも出せるし、自らもボールを運べる高井はまだ19歳。順調に成長すれば、将来の日本代表の守備を背負って立つべき人材だ。

■小笠原満男氏の「息子たち」よりも…

 センターバックが充実しているのは、偶然のことではない。若い世代では、確実に信頼できるDFが育ってきているのだ。

 パリ・オリンピックの開会式が行われた7月26日、東京の味の素フィールド西が丘で「JリーグU-15選抜対トッテナム・ホットスパーU-15」という興味深い試合が行われた。「Jリーグインターナショナルシリーズ」でトッテナムが来日して、ヴィッセル神戸と対戦したのに合わせて行われた試合だった。

 Jリーグ選抜として小笠原満男氏、田中隼磨氏の息子たち(小笠原央、田中琉磨)が出場して話題になった試合だったが、この試合でも日本のセンターバックの強さが目を引いた。

 この試合でセンターバックを務めていたのは倉橋孝輝(鹿島アントラーズ)と熊田佳斗(大宮アルディージャ)だったが、トッテナムのFWを完全にコントロールし、前半5分に失点した以外は、ほとんどチャンスも作らせず、トッテナムは80分間でシュートわずか3本に終わった。

■フランス戦の教訓を生かして「下剋上」

 もう一つの課題であるセンターフォワード探しにはまだ結論が出ていないものの、パリ・オリンピックでの細谷のプレーを見ると、やはり彼が次世代のCFの本命のような気がしてくる。相手のDFを背負いながらボールをキープしてくれるワントップがいれば、攻撃の幅は大きく広がる。

 細谷や、さらに下の世代の徳田誉(鹿島)など、いわゆる9番タイプの選手が成長してくれれば、日本代表は本当に強くなるだろう(徳田は7月24日のブライトンとの試合に後半から出場。チームが劣勢だったこともあって、ほとんど何もさせてもらえなかったが、うまくゴール前に抜け出して、鈴木優磨からのパスを収めて、ゴールを陥れた)。

 冒頭でも述べたように、2試合を終えてグループリーグ突破を決めたアドバンテージを生かして準々決勝を万全な形で戦えば、必然的にベスト4への道が開けるだろう。

 そして、そこで待ち構えているのがフランスやスペインといった、世界のトップクラスだ。オリンピック開幕前のフランスとのトレーニングマッチは結果としては1対1の同点だったが、現地到着直後で日本のコンディションが悪かったこともあり、内容的に圧倒されてしまった。

 しかし、そのフランス戦の教訓やグループリーグを戦う間に育まれた自信を武器に、格上を相手と戦い抜いてほしい。そして、1試合でもジャイアントキリングを起こせば、「56年ぶりのメダル」が待っている。

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