パラグアイ、マリに連勝し、2戦終了時点で2024年パリ五輪決勝トーナメント進出を決めているU-23日本代表。7月30日…
パラグアイ、マリに連勝し、2戦終了時点で2024年パリ五輪決勝トーナメント進出を決めているU-23日本代表。7月30日(日本時間31日早朝)のグループ最終戦・イスラエル戦(ナント)の注目点は準々決勝の相手がどうなるかだった。
しかしながら、その一戦を前に、C組の順位が決定。日本がD組1位通過ならスペイン、2位通過ならエジプトになることがハッキリした。日本のここまでの得失点差+6という数字を踏まえると、仮にイスラエルに負けても2位・パラグアイにひっくり返される可能性は低い。「次戦の相手はスペイン」というのがほぼ確実になる中、日本はグループラストマッチに挑むことになった。
大岩剛監督は警告をもらっている藤田譲瑠チマ(シントトロイデン)、高井幸大(川崎)、関根大輝(柏)の3人を温存。エースナンバー10・斉藤光毅(ロンメル)らもベンチ外にして、マリ戦からスタメン6人を入れ替えた状態で戦った。「スペインとの決戦を視野に入れてリスクを最小限にしたい」という思惑からこの陣容にしたのだろう。
攻守の要・藤田を欠いた日本は序盤からゲームメークがうまくいかず、相手のカウンターを食らう苦しい展開を強いられた。それでもSNS上で”国防ブライアン”と呼ばれる守護神・小久保玲央ブライアン(シントトロイデン)の好セーブで失点を阻止。前半途中から徐々に主導権を握り返した。
■3試合通しての粘り強い守備
0-0で迎えた後半もやはり相手の気迫あふれる攻めを受ける展開を強いられたが、またも小久保が好セーブを連発。今大会無失点の堅牢な守備を維持する。そのうえで、途中からピッチに立った三戸舜介(スパルタ・ロッテルダム)、藤田、細谷らが攻撃のギアを上げ、後半ロスタイムの決勝点に結び付けた。
この場面を振り返ると、右サイドで西尾隆矢(C大阪)がボールを奪い、右MFの佐藤恵允(ブレーメン)にパス。佐藤が藤田に預けると、背番号8は余裕を持って中盤をドリブルで持ち上がり、佐藤にスルーパスを出した。これを中に折り返したところに飛び込んだのが細谷。ここまで無得点だったエースの待望の一発が飛び出し、理想的な形で1-0の勝利を収めたのだ。
結局、日本は3連勝の勝ち点9で1位通過。特に無失点というのは称賛されるべきだろう。パリ世代は守備のタレント不足が前々から懸念されており、オーバーエージ(OA)枠の候補も板倉滉(ボルシアMG)や町田浩樹(サンジロワーズ)らDF陣の名前が数多く挙がっていたほどだ。
しかし、ふたを開けてみると、小久保の大活躍に背中を押された木村誠二、高井、西尾、鈴木海音らが安定感のあるパフォーマンスを披露。3試合通して粘り強い守備が光った。もちろん小久保という絶対的な存在がいることは大きいが、総合力がアップしているのは間違いない。
■調子を上げているアタッカー陣
加えて言うと、藤尾翔太(町田)と三戸、山本理仁(シントトロイデン)が2点、細谷が1点とゴールを取るべき選手たちが結果を残している。まだ取れていないのは斉藤とパラグアイ戦でケガをした平河悠(ブリストル)くらい。アタッカー陣が調子を上げているのも朗報だ。
その攻守両面を確実につないでいる藤田、山本の存在感も大きい。とりわけ藤田はイスラエル戦でも出てくるだけでチーム全体を落ち着かせ、リズムをガラリと変えていた。その戦術眼と冷静さは特筆すべきものがあった。次戦・スペイン戦もキャプテンの統率力とゲームメーク力が生命線となるだろう。
グループ3試合は文句なしの戦いぶりを見せた大岩ジャパン。4~5月のAFC・U-23アジアカップ(カタール)制覇からの勢いは凄まじいものがある。だが、メダルへの挑戦はここからが本番。ここで過信することなく、今一度、気を引き締めることが肝心だ。
(取材・文/元川悦子)
(後編へ続く)