<パリオリンピック(五輪):柔道>◇30日◇男子81キロ級◇シャンドマルス・アリーナ【パリ=阿部健吾】東京五輪覇者の永瀬貴規(30=旭化成)が81キロ級では五輪初の2連覇を達成した。16年リオデジャネイロ五輪の銅メダルから3大会連続のメダル…

<パリオリンピック(五輪):柔道>◇30日◇男子81キロ級◇シャンドマルス・アリーナ

【パリ=阿部健吾】東京五輪覇者の永瀬貴規(30=旭化成)が81キロ級では五輪初の2連覇を達成した。16年リオデジャネイロ五輪の銅メダルから3大会連続のメダルとなり、日本勢では谷亮子、野村忠宏に続く3人目の快挙にもなった。

準々決勝で世界ランク1位のマティアス・カッセ(ベルギー)に優勢勝ちし、決勝では世界王者タト・グリガラシビリ(ジョージア)に残り2分で小外刈りで技ありを奪うと、1分12秒に一本を奪った。

3年前、母国日本での戦いを終え、胸に黄金のメダルを輝かせてから約1カ月後。まだまだ酷暑の8月、柔道場で道着を着込んだ。「パリまであと3年しかない」。満足感はなかった。あるのは良い意味での焦り。「自分の中で再スタートいうか、東京後のスタートを早めにすることができた。4年あると『まだいいかな』っていう気持ちになっていたんじゃないかなと思う」と汗だくになって、パリへの道を歩み出した。

あの瞬間の虜になった。「東京で優勝して、達成感だったり、いろんな気持ちになった。もう1度あの時の気持ちを、感動とかいろんなものを味わいたい」。その渇望が体を動かした。「またその未知の領域の部分を味わいたい。もう1度世界一になりたい」と3年間を走り抜いてきた。

81キロ級は欧米勢の平均体重に近く、スピードもパワーも兼ね備えた猛者たちが集結する。アジア勢、日本勢が打破していくことのすごみは、だからこそ際立つ。かねて、旭化成の先輩で16年リオデジャネイロ、21年東京大会で2連覇の大野将平さんは「永瀬こそ最強」と公言してきた。

その評価に「単純にうれしいです」としながら、「その分、『頑張れ』というゲキも含まれての言葉だと思っている。言ってもらったからには結果を残さないといけない」と静かに闘志を燃やしてきた。

尊敬する先輩の記録に並ぶ2連覇。最強を証明してみせた。